研究課題
末梢神経再生研究においては、幹細胞、増殖因子、scaffoldを組み合わせたさまざまな試みがなされているが、再生神経の標的臓器である筋肉の萎縮の予防については報告が少ない。炭酸ガス経皮吸収は、人工ボーア効果により赤血球の酸素解離を促進し、すでに筋肉や骨、皮膚、血管などの組織修復への効果が期待されている。我々は、炭酸ガス経皮吸収が末梢神経損傷での神経・筋肉機能回復過程において及ぼす効果について調べた。平成27、28年度は、ラットを2群(炭酸ガス投与群と炭酸ガス非投与群)に分け、全身麻酔下にラット坐骨神経に圧挫を加え、2,4週の評価時期に、行動学的評価を行った後に、坐骨神経と坐骨神経支配筋の評価を行った。行動学的評価は、行動モニタリングシステム(foot print)と筋電図を使用し運動機能を評価した。組織・免疫学的評価では、免疫蛍光染色により、坐骨神経の神経線維、シュワン細胞の評価をし、筋肉については前脛骨筋・ヒラメ筋に対して、H-E染色を行い、萎縮の程度および断面積を解析した。また、生化学・分子生物学的評価は、神経マーカーとして、neurotrophin関連遺伝子を評価した。また筋の評価としては、筋萎縮に関連する因子を、Real time PCR法にて評価した。平成29年度は、本研究に対してのData解析を行い、得られた結果について論文として報告し、結果として、英文雑誌である、Journal of Orthopaedic Researchに掲載された。本研究は、筋量・筋力が低下する最重症の疾患モデルの1つである神経軸索損傷動物モデルを使用して、炭酸ガス経皮吸収による筋萎縮防止効果、また損傷肢の機能回復効果について検討を行うものであり、効果有りとの結論を得るに至った。
すべて 2017
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Journal of Orthopaedic Research
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10.1002/jor.23817.