研究課題/領域番号 |
26861200
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
河野 正典 大分大学, 医学部, 助教 (30571773)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | dendritic cell / foxp3 |
研究実績の概要 |
計画書に記載したように樹状細胞(DCs)にFOXP3 mRNA (MIGR-mFoxP3 ;Plasmid 24067, addgene) を試みたが, 現在のところ導入および発現効率が文献に示されているほど良くはない。原因を究明中であるがtransfectionの時間を調整するか、樹状細胞側の生体効率を活性化する何かを加える必要があるため今後実施することにしている。 並行して我々はこれまで行ってきたRegulatory T cells (Tregs)の機能を抑制しDCを併用する研究を継続した。これまでの研究結果や臨床成績を考慮しながら悪性腫瘍に対する免疫療法の立ち位置ということを考えてみる。様々な試みの中で、現在の免疫療法を選択するタイミングというのは標準治療を行った後の進行例に対してである。現在の免疫療法の戦略では標準治療と同等もしくはそれらの効果を凌ぐ治療効果はないという証明であろう。ヒトの悪性腫瘍を免疫療法のみで治療するという概念はもうやめるべきであり、現在の標準治療と免疫療法をはじめから併用する選択が免疫療法の能力を引き出すことができると考える。つまり抗癌剤もしくは放射線療法と免疫療法の併用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今のところ抗glucocorticoid-induced TNFR family related gene (GITR) 抗体とDCを併用するとTregの腫瘍への集積が抑制され、同時にTregが放出する免疫抑制因子(TGF-, IL-10, IL-6)の発現が低下していることをreal-time PCR, 腫瘍組織のウェスタンブロットで確認した(投稿中)。
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今後の研究の推進方策 |
すでに臨床の現場で使用している薬剤に免疫療法と併用できそうな抗癌剤はないか。 私たちはImmunological cell death (ICD) に注目した。これは抗癌剤を使用することにより癌細胞が細胞表面に発現するタンパクが抗原となりDCなどに認識されやすくなる、という現象である。すでに他の癌腫で証明されていたが、我々はマウス骨肉腫細胞(LM8)にも同様の免疫活性上昇が発生しないか調査した。肉腫に対する化学療法で用いられるadriamycin (ADM) をLM8に反応させるとin vitro, in vivoともにcalreticulin (CRT), heat shock protein (HSP) 70の細胞表面への高発現, high mobility group box 1 (HMGB1)の細胞外放出を確認し、さらにマウスDCの活性化を確認しこのモデルでのICDを証明した。DC-Foxp3 モデルの研究と同時にこれについても研究していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験方針を一部変更した。具体的には実験器具が購入できなかったため消耗品を購入した。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き実験消耗品を中心に購入する。当施設での共通機器を使用することで計画に変更はない。
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