研究課題
本研究は、代表性が確立した住民コホート研究の追跡調査により、椎間板変性の発生率や進展様式、危険因子、頚部痛・腰痛、脊柱管狭窄との関連性を解明することが目的であった。われわれ研究チームは、2013年および2014年に和歌山県日高川町及び太地町にて1500名程度の新規参加者を含む第2次The Wakayama Spine Studyとして追跡調査をおこなった。調査から生活習慣を網羅した情報(年齢、身長、体重、既往歴の有無、喫煙歴、飲酒歴の聴取、血液検査(脂質、尿酸値など生化学))、及び身体機能テスト、骨密度検査、全脊柱Xp、全脊柱MRIデータの収集を行ない、申請者はこれらデータを蓄積し解析して、まず椎間板変性および脊椎退行性変化に関するデータベースの構築を完了した。続いて、現在は椎間板変性の新規発生率、椎間板変性から脊柱管狭窄への移行率と椎間板変性や脊柱管狭窄を促進させる危険因子、椎間板変性と頚部痛・腰痛の経時的変化を明らかにすべく解析を行なっている。これにより、全脊柱における椎間板変性の新規発生率を導き出すことが可能である。新規発生率を解明することによって、どの年代で有意に椎間板変性が発生するか、およびどのような被験者に椎間板変性が起こりやすいかなどが解明できる。加えて、ベースラインで得られた椎間板変性の関連因子である糖尿病患者や肥満の被験者を追跡することにより、椎間板変性を促進させる危険因子を解明することで、今後の椎間板変性の予防に関する有意義なデータを得ることが可能となる。
2: おおむね順調に進展している
予定通り、追跡調査のデータ収集および蓄積が完了し、椎間板変性および脊椎退行性変化に関するデータベースの構築を完了したため概ね順調に作業は進んでいる。また現在、椎間板変性の危険因子が肥満や糖尿病であることが解明されつつあり、研究は進展していると考えられる。
今後はさらに研究を進めるため香港大学との共同研究を行なうこととなった。これによりHong Kong Degenerative Disc Studyとの相違を検討することから、椎間板変性を促進させる危険因子を解明することが可能であり、今後の椎間板変性の予防に関する有意義なデータを得る事が出来ると考える。
本年が第3次検診を行なうため旅費および検診のための物品などが必要と考えます。また同時に解析および論文投稿、海外での学会発表を行なう予定であります。
第3次検診は本年10月頃より和歌山県日高川町で開始し、2ヶ月ほど滞在する予定です。その際の旅費、検診のための物品の購入のため使用する計画です。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
The Spine Journal
巻: 15 ページ: 622-628
Osteoarthritis and Cartilage
巻: 22 ページ: 104-110