研究課題
前年度には、全脊柱MRIを使用した椎間板変性の全脊柱の椎間における有病率とその分布、加えて頸椎、胸椎および腰椎すべての分節における椎間板変性が加齢や肥満と強い関連があること、さらに椎間板変性と頸部痛もしくは腰痛との関連性を初めて示した。(Osteoarthritis and Cartilage 2014, 22: 104-110)。本年度は、以上の研究を発展させ椎間板変性および腰痛の因子とされるModic change、Schmorl nodeが交絡した場合に腰痛との関連について検討を行なった。結果としては、椎間板変性とModic changeが組み合わさった場合により強く、有意に腰痛との関連が生じることを明らかした。この結果については、国際学会(ISSLS 41th Annual Meeting 4-6 June 2014)において発表し多数の興味を頂いた。また、The Spine journal 2015, 15: 622-8にも原著として掲載した。また、椎間板変性の危険因子を解明するために全脊柱における椎間板とメタボリックシンドローム(高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満)との関連を検討した。結果は肋骨に囲まれた可動性の少ない胸椎において、力学的負荷以外の要因すなわち糖尿病と肥満が有意に椎間板変性と関連していることが明らかになり、国際雑誌に掲載された。(PLoS ONE 11(2): e0147565)従来、椎間板変性に関するMRIを用いた疫学研究は、莫大な費用や、胸椎には椎間板症が殆ど存在しないという認識のもと、腰椎あるいは頸椎のみに焦点が当てられ全脊柱を系統的に評価した報告は存在しない。そのため、本年度の研究の実績としては今まで明らかにされていなかった腰痛とMRIにおける画像変化のと関係、椎間板変性の危険因子を明らかにすることが可能であった。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要で述べたように、本年度は多数の国際学会および国内学会にて研究計画の予定通りの内容を発表し評価を頂いた。また、国際的な高いインパクトのある雑誌にも掲載されており概ね計画通りであると考える。
今後は本研究の最終年度であるため、引き続き解析および検討を続けデータを生み出していく。そして、国際学会および雑誌に投稿を行ない世界に周知されるように発信していく。
本年度は、新たな設備への購入のための科研費使用が無かったため次年度使用額が生じた。
次年度は、縦断調査を行なうため移動式MRIを賃貸する必要がある。そのための資金として使用する計画である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
The Spine journal
巻: 15 ページ: 622-628
The Spine Journal
巻: 15 ページ: 2593-2596
PLoS ONE
巻: 11 ページ: e0147565