• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

新たな異所性骨形成モデルの確立と骨化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26861208
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

大澤 賢次  埼玉医科大学, 医学部, 助教 (70638238)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード骨形成
研究実績の概要

進行性骨化性線維異形成症(FOP)は、筋組織内で異所性に骨形成が生じる難治性疾患で、骨形成に重要な役割を担うBone Morphogenetic Protein(BMP)の受容体であるALK2の変異により発症する。我々は、in vitroの解析からこの変異ALK2がBMPのもう1種類の受容体(II型受容体)によってリン酸化を受けやすく、BMP非存在下でも細胞内シグナルを活性化することを見出した。そこで本申請課題では、ソノポレーション法を用いて、BMP受容体や下流の情報伝達分子の遺伝子導入による骨誘導活性を評価できる新たなin vivoの実験系を確立し、FOPの発症メカニズムの解明や、生理的な骨形成に重要な分子メカニズムの解明を目指す。
本年度はソノポレーションを用いたBMP受容体や下流の情報伝達因子の遺伝子導入による新たなin vivoの骨誘導実験系を確立するため、まず野生型マウスの下腿骨格筋に対して、ソノポレーションによりFOPで見出された変異BMP受容体(ALK2)の遺伝子導入を行うことを試みた。骨形成因子(BMP2)発現ベクターを用いた骨誘導実験ではpCAGGS-BMP2ベクターを用いた群で骨形成を誘導できた。一方、pcDEF3-BMP2ベクターを用いた群では骨形成が誘導できなかった。またGFP発現ベクターを用いた実験では、pCAGGS-GFPを用いた群では対象の筋組織にGFPの発現が確認できたが、pCDEF3ベクターを用いた群では、微弱なGFPの発現に止まった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでの我々がin vitroにおいて行ってきた実験では、pCAGGSベクターよりもpCDEF3ベクターで導入遺伝子の良好な発現が確認されており、筋組織に対するin vivoソノポレーションにもこのベクターを応用する予定であった。しかしながら、in vivoソノポレーションではpCAGGSベクターの発現の方が優れているという結果となった。このため、当初予定したベクターをそのまま使用することが出来なくなり、進捗が遅れた。

今後の研究の推進方策

本研究計画で当初から準備していたpcDEF3ベクターのコンストラクトをpCAGGSに移し換えた上で、今後の実験を行っていく必要があるため、現在サブクローニングを行っている。サブクローニングが終了し次第、野生型マウスの下腿骨格筋に対して、ソノポレーションによりFOPで見出された変異BMP受容体(ALK2)の遺伝子導入を行い、経時的に4週後までの骨誘導活性を評価する。受容体の共発現で骨誘導が認められない場合、ALK2のリガンドとなるBMP遺伝子の共発現や、筋損傷を誘発するヘビ毒投与の併用などを検討する。また、我々が最近構築した構成的活性型Smadをそれぞれ筋組織に遺伝子導入し、各Smad経路の骨誘導活性について比較検討する。また、BMPのSmad経路の下流ではOsterixやRunx2の発現が誘導されることから、これらの転写因子の遺伝子導入による骨誘導活性についても検討する。Smad経路単独で骨誘導活性が認められない場合、BMP受容体との共発現でSmad以外の経路を活性化した条件を併せて解析する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Smad9 is a new type of transcriptional regulator in bone morphogenetic protein signaling.2014

    • 著者名/発表者名
      1.Tsukamoto S, Mizuta T, Fujimoto M, Ohte S, Osawa K, Miyamoto A, Yoneyama K, Murata E, Machiya A, Jimi E, Kokabu, S, Katagiri T.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 23 ページ: 1- 11

    • DOI

      10.1038/srep07596.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Establishment of a novel model of chondrogenesis using murine embryonic stem cells carrying fibrodysplasia ossificans progressiva-associated mutant ALK2.2014

    • 著者名/発表者名
      2.Fujimoto M, Ohte S, Shin M, Yoneyama K, Osawa K, Miyamoto A, Tsukamoto S, Mizuta T, Kokabu S, Machiya A, Okuda A, Suda N, Katagiri T.
    • 雑誌名

      Biochemistry Biophysics Research Communications.

      巻: 12 ページ: 347- 352

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2014.11.012.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mutant activin-like kinase 2 in fibrodysplasia ossificans progressiva are activated via T203 by BMP type II receptors.2014

    • 著者名/発表者名
      3.FujimotoM, Ohte S, Osawa K, Miyamoto A, Tsukamoto S, Mizuta T, Kokabu S, Suda N, Katagiri T.
    • 雑誌名

      Molecular Endocrinology

      巻: 29 ページ: 140- 152

    • DOI

      10.1210/me.2014-1301.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The novel IκB kinase β inhibitor IMD-0560 prevents bone invasion by oral squamous cell carcinoma.2014

    • 著者名/発表者名
      4.Tada Y, Kokabu S, Sugiyama G, Nakatomi C, Aoki K, Fukushima H, Osawa K, Sugamori Y, Ohya K, Okamoto M, Fujikawa T, Itai A, Matsuo K, Watanabe S, Jimi E.
    • 雑誌名

      Oncotarget

      巻: 15 ページ: 12317-12330

    • 査読あり
  • [学会発表] Establishment of a new in vivo experimental model for heterotopic bone formation in skeletal muscle.2014

    • 著者名/発表者名
      Osawa K, Tsukamoto S, Fujimoto M, Miyamoto A, Mizta T, Katagiri T
    • 学会等名
      The 12th RCGM International Symposium of Academic Frontier
    • 発表場所
      埼玉医科大学30周年記念講堂 (埼玉県日高市)
    • 年月日
      2014-10-31 – 2014-11-01
  • [図書] A Tissue Regeneration Approach to Bone and Cartilage Repair2014

    • 著者名/発表者名
      Katagiri T, Tsukamoto S, Osawa K, Kokabu, S.
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      Springer International Publishing
  • [図書] 骨代謝 つくり,壊し,変える−そのメカニズムと最新治療2014

    • 著者名/発表者名
      片桐岳信、塚本翔、大澤賢次
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      羊土社

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi