研究課題
近年、炎症性免疫疾患に代表される関節リウマチや半月板・軟骨損傷に起因する変形性膝関節症に対する細胞治療が注目されている。再生医療における細胞治療としてヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)は多くの疾患に適応されつつある。近年hMSCsが抗炎症、免疫調整作用を有することが報告され、筆者らもこの点に注目して研究を継続し、マウス脊髄損傷マウスモデルを用いた研究では、IL-1はマイクログリアの古典的活性化、代替経路型活性化の両方に関与する事が示唆された。さらに、脊髄損傷動物に対しhMSCsを脊髄内に移植し、運動機能、脊髄損傷や神経再生の改善が認められる事を免疫組織化学的に確認した。IL-1を含む炎症性・抗炎症性サイトカインの遺伝子解析を行ったところhMSCsを移植した動物はマウスIL-1、TNF alpha、IL-10およびTGF betaの有意な減少を認め、抗炎症性のIL-4の有意な増加を認めた。また、hMSCsがpituitary adenylate cyclase-activating polypeptide(PCAP)というタンパク質を介して炎症を調整する機序について報告した。さらに損傷組織を用いてmRNAを抽出しRT-PCRにてケモカイン (CCL2、CCL5、CCL7、CXCL1、CXCL2、CX3CL1) および受容体 (CCR1、CCR2、CCR3、CCR5、CXCR2、CX3CR1) の発現を調べたところ、ケモカインCCL2、CCL7、CXCL1、CXCL2、CX3CL1とそれらの受容体CCR2、CXCR2、CX3CR1の発現は損傷後3日目で最大となり14日目にかけて低下した。一方でCCL5とその受容体CCR1、CCR5の発現は14日目まで増加し、CCL5の慢性炎症への関与が示唆された。今後急性期から慢性期における経時的な変化に対する治療戦略について研究を進める必要がある。
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JOSKAS
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