研究課題
間葉系幹細胞(MSC)は、現在の再生医療においてほぼ唯一実用可能な幹細胞として普及しつつある。様々な疾患において組織再生、免疫・炎症抑制、サイトカイン分泌など幅広い効能を示し、今後の期待は大きい。一方で、ドナーの背景により移植基準に到達しない例が散見されるなど、安定的に培養する系やDifined-cultureの確立が望まれている。しかしながら、MSCにおいては基礎的な情報が乏しく、間葉系幹細胞が分化するメカニズムや必要な転写因子などは依然不明である。本研究では、患者細胞からMSCへとダイレクトリプログラミングする系を確立することを目的としている。これを達成するためには、これまでほとんど未解明であったMSCの成立に必要な分子メカニズムを明らかにする必要がある。本研究においては5つの実験を実施し、①MSCで発現するNカドヘリンはbFGFシグナルの経路を安定化し、Mesenchymalの状態を維持するために必要であること(Scientific Reports誌に掲載)、②Twist1がTETタンパク質と相互作用し、エピジェネティック修飾に関与すること(Scientific Reports誌に掲載)、③TGFbシグナルがEMTおよびMSCの維持に重要であり、TAK1が重要な役割を果たすこと(投稿準備中)を発見している。また④リプログラミング過程でTwist1を発現させることでMSC様の細胞を直接誘導できることを発見した。さらに、⑤Twist1を抑制するとBmi1、Sox2などの幹細胞マーカーの発現が低下することを確認した。以上より、Twist1を発現させることでMSCを誘導することが可能であり、、そのメカニズムはエピジェネティック修飾を介しているという結果得た。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 42990
10.1038/srep42990
巻: 7 ページ: 43604
10.1038/srep43604