研究課題/領域番号 |
26861218
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
小林 英介 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (40365292)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨軟部肉腫 / メタボリックエラー / 新規治療開発 |
研究実績の概要 |
現在複数の臨床検体を利用して細胞株の樹立を試みているが、現在までにドキソルビシン耐性と臨床的に判断されている骨軟部肉腫においては細胞株は樹立されなかった。一般的に樹立の成功率は数パーセントであり、今後もゼノグラフト作成を含めて継続している。そこでドキソルビシン耐性肉腫として胞巣状軟部肉腫、類上皮肉腫およびドキソルビシン耐性骨肉腫細胞株入手し、それらを用いて、ASS1のたんぱく質レベルでの発現解析を行った。その結果で複数の細胞株でのASS1の発現低下を確認できた。 またアルギニン欠乏培地を作製し、ASS1低発現細胞株およびコントロールとしてASS1高発現株MCF7を用いてアルギニンの有無で細胞の成長を確認した。その結果、ASS1低発現の細胞株ではアルギニンを枯渇させるだけで著明な増殖抑制を生じることが分かった。さらにはフローサイトメトリー用いて、アルギニンの有無で成長を調べたところ、増殖抑制を生じる細胞株ではG1 arrestを生じることで細胞増殖が抑制されていることを確認した。現在は希少肉腫においてTMAを作製しており、臨床検体レベルでのASS1の発現を免疫染色を用いて確認している。ただし以前の論文で多く用いられていた感度の良い抗体の販売が終了していたことから、現在種々の抗体を用いながら、その精度を調べている状況である。 現在までの状況は骨軟部腫瘍基礎を語る会および日本整形外科学会でも口演を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画で述べたin vitroの研究に関してはおおむねドキソルビシン耐性肉腫細胞株でのASS1のメタボリックエラーを確認でき、その細胞増殖阻害を非必須アミノ酸欠乏培地作成によって確認できたことから達成できていると思われる。ただし以前から使用されていた感度のよい抗体の販売が中止されており、そのタイトレーションがうまくゆかず、時間がかかっている部分がある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は悪性化や化学療法抵抗性のメカ二ズムを解明していく予定であり、臨床応用に向けて精進していく次第である。現在までの問題点はASS1の抗体販売修了に伴って免疫染色やたんぱく質発現解析が予定通りに進まないことであり、本年度はRT-PCRで発現を検索することも考えている。 またアルギニン分解酵素が治療薬として臨床試験が他の癌種で行われ始めたことから、薬剤を入手することで、さらに臨床応用実現に向けて実験を進めていきたい。さらには、そもそも希少がんであることから、何とか新たな細胞株やゼノグラフトモデルを樹立したうえで実験を進めていきたい。今年度の実験で新たな薬剤耐性機構におけるASS1の悪性化メカニズムに着目しており、ここに関しても研究をすすめていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度をまたく国際学会での発表があったために、次年度使用額が生じました。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した部分は旅費の一部として、また研究計画の予定通りに臨床検体での免疫染色や各種バイオマーカーとしての有効性の評価、および悪性化メカニズム解明のために次年度使用してい区予定です。
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