研究実績の概要 |
ブドウ糖添加ブピバカインによる心停止に対する脂肪乳剤投与の効果 【導入】ブピバカインによる心停止に対し、脂肪乳剤投与が有効であることは多数報告されており(Anesthesiology 108:907-13,2008.Anesth Analg109:1323-6,2009)、その機序ハイアットlipid sinkによると推測されている。 今回、ブドウ糖添加高比重ブピバカインによる心停止に対し、脂肪乳剤投与の効果がブドウ糖により影響を受けるかを調べた。 【方法】ラットをセボフルラン麻酔下に気管切開カニューレ留置後、大腿動静脈カテーテルを挿入し皮下トンネルを作成した。麻酔覚醒2時間後、0.5%高比重ブピバカイン(ブドウ糖72.7 mg/mL添加ブピバカイン)を2 mg/kg/分で持続静注した。脈圧が0mmHg になった時点で局所麻酔薬の、投与を停止し、純酸素投与下で人口呼吸と心臓マッサージを行ったた。脂肪乳剤投与群(n=6)では、同時に20%脂肪乳剤5 mg/kg を静注後、0.5 mg/kg/分で持続静注した。対照群(n=6)では同量の生理食塩液を静注した。結果は平均±標準偏差で示し、P<0.05を有意とした。 【結果】局所麻酔薬投与前の動脈ガス分析値、脈圧0 mmHg時の平均血圧および心拍数において群間差は無かった。蘇生開始後2,3,4,5,10分の平均血圧は対照群と脂肪乳剤投与群で有意な変化はなかった。(10±7 vs 9±4,15±9 vs 15±8,19±10 vs 21±11,25±15 vs 23±13,113±64 vs 100±75 mmHg)。同様に心拍数も群間差は無かった。 【結果】ブドウ糖添加ブピバカインによる心停止からの蘇生において、脂肪乳剤投与は有意な効果が見られなかった。ブドウ糖がlipid sink効果に影響した可能性がある。
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