(1)樹状細胞サブセットの欠損マウスでの樹状細胞の欠損を誘導できることの評価をまず行った。ミエロイド系樹状細胞と形質細胞様樹状細胞の欠損を誘導できるマウスにたいしてヒトジフテリア毒素1 μgを投与し、末梢血中に検出される各種樹状細胞が減少するのかの評価をフローサイトメトリーにて行った。ジフテリア毒素投与後2日目まで各種樹状細胞サブセットの数は減少し、その後1週間程度で回復していくことがわかった。今後はこの樹状細胞数の変動の状況に基づいて敗血症の導入の時間を設定し、敗血症の予後に与える樹状細胞サブセットの役割の解析を進めていく予定である (2)免疫細胞に対する代表的な鎮静薬であるベンゾジアゼピン系薬物の影響を解析する過程でヒトの細胞に対する影響を評価した。ヒトの単球マクロファージの細胞株であるTHP-1を用いた解析を進めている。ベンゾジアゼピンの代表として水溶性の鎮静薬であるミダゾラムを用いた。ミダゾラムを培養液中に添加しておくとLPSによってTHP-1に生じる炎症性サイトカインの分泌と副刺激分子の発現が抑制された。ミダゾラムの作用分子であるGABA受容体ともう一つの作用分子であるTSPOの関与を解析した。作用分子に対するリガンドを用いた解析によってTSPOの関与が示唆されたので、次にTSPOの分子を欠損させた細胞株を作成してTSPOの関与を分子レベルで明らかににすることを試みた。TSPO発現低減細胞株を用いた実験によりヒト免疫細胞でミダゾラムはTSPOを介して炎症性変化を抑制することが分子レベルで示された
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