高血圧性肥大心筋における心筋虚血再灌流障害に対するデクスメデトミジンの直接心筋保護効果について、高血圧性肥大心筋としてSHR、コントロールとしてWKYの摘出心を用いて検討している。実験は、ラットの心臓を摘出し、コントロール群とデクスメデトミジン群に分けて行い、デクスメデトミジン群では虚血前にデクスメデトミジンを30分間投与してプレコンディショニングしている。その後に30分間の灌流中断、120分間の再灌流を行うことで虚血再灌流障害を作製している。これまでの結果から、コントロール、高血圧性肥大心筋の両者において、デクスメデトミジンの虚血前投与により、虚血再灌流時の心ポンプ機能、左室拡張末期圧が改善し、とりわけ再灌流早期の改善が著明であった。また再灌流後に左室を摘出し梗塞巣サイズを測定したところ、デクスメデトミジンのプレコンディショニングにより梗塞巣サイズはSHRとWKY両者において有意に縮小した。このことから、デクスメデトミジンは高血圧性肥大心筋においても直接心筋保護効果を持つと考えられる。今後はまずその責任受容体を同定するために、α2受容体拮抗薬、イミダゾリン1受容体拮抗薬を用いて同実験を行い、また両受容体の定量評価を行うことにより、WKY、SHRそれぞれにおいてのデクスメデトミジンによる心保護効果の責任受容体の同定を行う予定である。さらに、各受容体の下流にある各種タンパク質のプロテオミクス実験へと進む。
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