研究課題/領域番号 |
26861237
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
吉川 裕介 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (40721759)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | デクスメデトミジン / 肥大心筋 / 虚血再灌流障害 |
研究実績の概要 |
正常心筋(WKY)と高血圧性肥大心筋(SHR)の両者において、虚血再灌流障害(IRI)に対するデクスメデトミジン(DEX)のプレコンディショニング効果をランゲンドルフ灌流装置を用いて前年度から引き続きまずはex vivo実験を行った。その結果、SHRにおいてもDEXはIRIに対して心筋保護効果を有する事を発見した。また、その責任受容体としてα2受容体とI1受容体の2つが可能性として考えられるが、正常心筋ではその両者が重要であるのに対して、肥大心筋ではI1受容体がキーとなる可能性が示唆された。当初平成28年度に施行予定であったα2受容体、I1受容体の発現量の比較についても平成27年度に実験を行い、ウェスタンブロット法により、SHRではWKYに比べてα2b受容体の発現が増加している事を解明した。I1受容体に関しては両者に有意差を認めなかった。この受容体の発現量の差異がex vivo実験の結果とどのように関連するのかは今後の課題である。 また、ミトコンドリア実験に関しては、正常心筋の単離ミトコンドリアをDEX投与下にincubationし、ミトコンドリア機能を測定したが、コントロールに比べて有意な差を認めなかったため、DEXはミトコンドリアに対しての直接作用は持たない事が示唆された。今後はwhole heartにDEXを投与したうえでの心筋ミトコンドリアの機能解析を行う事が課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ex vivo実験は順調に行えた。ミトコンドリア実験では当初期待されたデクスメデトミジンの作用を検出できなかったため、更なる解析が必要となっている。また、受容体の発現量解析については一部次年度に予定していた実験を行えている。
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今後の研究の推進方策 |
肥大心筋におけるデクスメデトミジンの心筋保護作用についての機序の解明が今後の課題である。
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