研究課題/領域番号 |
26861251
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
甫母 章太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60385359)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 術後遷延痛 / 急性痛 / 妊婦 / 帝王切開 / オキシトシン |
研究実績の概要 |
当該年度は基礎実験においてオキシトシン髄腔内持続投与による疼痛閾値の変化及び薬剤の毒性に関する研究が計画されていた。臨床試験においては研究協力施設である米国Wake Forest Universityにおいてオキシトシンの髄腔内投与に関するPhase1studyが施行され、論文発表された。人においてオキシトシンの髄腔内投与は血圧、脈拍、心電図変化(QTc)、血中電解質、神経学的に異常は示さなかった。一方、我々は臨床試験に先立ち脊髄くも膜下麻酔下で帝王切開が行われた患者34名の術後1日目のNRS(安静時、体動時)と脊髄くも膜下麻酔施行時の循環動態(収縮期血圧と拡張期血圧)との関連性を調べた。今後は当研究の目的となる麻酔時の循環動態に加え、髄腔内のオキシトシンの定量、術前心理検査、術前の痛覚定量検査などの多変量データと術後のNRSとの関連を調べるための前向き臨床試験を計画している。 当初、循環動態パラメータをフロートラックセンサーを用いて測定する予定であったが、橈骨動脈にカテーテルを挿入するため患者にとって侵襲が大きい。センサー付きフィンガーカフを用いたシステムではカテーテルの挿入は必要なく指動脈に赤外光を用いてより非侵襲的に測定可能である。我々は帝王切開術において使用し収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、脈拍、一回拍出量、心拍出量、末梢血管抵抗などを実際に連続モニターできることを確認した。今後の臨床試験ではこのシステムを用いて循環データを測定する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究計画は基礎研究及び臨床研究を進めるために必要な技術とシステムの確立が計画の中心であった。臨床において新しいデバイスの導入を行い、技術的には臨床試験への使用が可能であることを確認できた。術前心理検査及びと痛覚定量に関してはさらなるトレーニングが必要である。
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今後の研究の推進方策 |
手術中の循環動態の把握には橈骨動脈にフロートラックセンサーを用いたモニターを予定したが侵襲が大きく、症例数には限りがある。センサー付きフィンガーカフを用いたシステムは非侵襲的な測定ができ、症例数を大幅に増やすことが可能である。今後は使用許可を確認し計画に加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度計画していた患者の循環動態を把握するためフロートラックセンサーの使用を予定したが、患者に対する侵襲が大きいためより低侵襲のモニターで代用する。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はフロートラックセンサーの使用を計画していたが、より低侵襲なモニターであるセンサー付きフィンガーカフを用いたシステムが発売され、これらを用いて測定する事を計画している。使用許可がおりることを確認し購入する予定である。
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