研究課題
ラット膀胱伸展受容一次求心性神経の有髄Aδおよび無髄C線維の活動性に及ぼす各種薬剤の作用および病態モデルにおける活動性変化を検討した。研究A:アドレナリンα1D(α1D-AR)選択的拮抗薬のBMY7378の静脈内および膀胱内投与の検討から、膀胱のα1D-ARはAδ線維の活動性を促進的に調節することで、膀胱伸展知覚受容に関与することが示唆された。ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)刺激薬であるoxotremorineの膀胱内注入による検討から、C線維には膀胱のmAChR刺激に感受性のあるものと無いものの二種類が存在し、抗コリン薬のimidafenacinおよび5-HMTは膀胱mAChRを介してC線維の活動性を抑制することが示された。末梢限局的に作用する内因性カンナビノイド分解酵素阻害薬のURB937は、膀胱内PGE2注入により惹起されるC線維の活動性を抑制し、化学刺激物質により求心性神経活動が亢進している状態に対しても、内因性カンナビノイドが抑制作用を有することが示された。研究B:雄性Wistarラットを用いて膀胱出口部部分閉塞(BOO)モデルを作成し、10日後に求心性神経活動を測定する実験系を確立した。先行結果では、偽手術群に比べBOO群でAδ線維の活動性が減弱し、BOOによる除神経により求心性神経活動の減弱が推測されたが、C線維においてはそのような減弱は見られなかった。BOO群では高頻度に膀胱の筋原性微小収縮が観察され、この微小収縮の収縮開始(立ち上がり)に同期して、Aδ線維の活動性が増大していた。このことは、BOOにおける膀胱微小収縮が、特にAδ線維の活動性亢進と密接に関連していることを示唆し、BOOにおける病態生理を理解する上で重要な知見となると考えられた。研究C:摘出膀胱をモニターするためのCCDカメラと記録モジュールを購入し、実験系の確立を目指している。
2: おおむね順調に進展している
研究AおよびBにおいて、健常ラットおよび病態ラット(BOOラット)の両者を用いて、膀胱伸展時における一次求心性神経活動測定を行い、研究Aについては種々の薬物の効果を検討できた。これらの結果は学会発表および論文発表に至っている。研究Cにおいては実験系の確立をほぼ完了し、平成27年度は実際に実験を行う計画である。
下部尿路機能障害に対する新規治療候補薬探索のため、今後も独創的な研究ツールを用いて、種々の薬物の排尿機能、特に求心路に及ぼす影響を検討する予定である。これらの検討は、下部尿路機能障害における知覚伝達路の病態生理において非常に重要な検討であると考えている。
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