研究実績の概要 |
【研究の成果の具体的内容】H26年度研究計画に基づいて、前立腺間質細胞WPMY1,PrSCを入手しDHT投与、RNA抽出しRT-PCRにてAR発現が誘導されることを確認した。それに伴いWnt5aの発現が上昇したためWnt5aのプロモーターを作成、リポーターアッセイを施行。DHT投与にてルシフェレース活性が10倍以上強まりWnt5aがARの下流遺伝子である可能性が高まった。そこでさらにChiPアッセイを施行、Wnt5aのTSS部位にARの強い結合がみられbinding ドメインを同定することに成功した。当院の倫理審査を経て、顕微鏡下レーザーマイクロダイセクション法による患者前立腺癌検体を用いた実験では、前立腺癌を間質、正常上皮、癌、癌周囲間質に分離し各RNA発現をみたところ、Wnt5aが間質で強く発現していたが、Wnt5bは上皮、間質に発現の差がないことが分かった。H27年度の計画であったが、骨芽細胞に分化可能の骨肉腫細胞のRNA抽出を行い、WntsファミリーのRT-PCRを行ったところWnt5aとWnt5bが強く発現しており前立腺間質細胞のパターンと酷似していることが分かった。 【研究の意義・重要性】前立腺癌における間質―上皮コミュニケーションは十分に解明されておらず、Wnt5aが間質に発現し癌細胞の増殖を促進することが示唆され意義は大きい。またAR依存性の臓器である前立腺においてARシグナルがWnt5aの分泌を刺激することが解明されたことは、新規治療薬の創薬の点からも意義の大きい発見である。
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