研究課題/領域番号 |
26861263
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
宮本 達也 山梨大学, 総合研究部, 助教 (80456459)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 過活動膀胱 / メタボロミクス |
研究実績の概要 |
現在、過活動膀胱治療薬としては、主に抗コリン薬とβ3受容体作動薬が用いられている。しかし実際の臨床において、これらの薬剤が無効な患者を経験することも少なくない。その一因として、尿意知覚に関わる情報伝達物質の過剰な放出が過活動膀胱の発症メカニズムのひとつである可能性が示唆されている。そこで、我々は尿意伝達にかかわる情報伝達物質をメタボロミクス解析を用いて、過活動膀胱症状に関わる新たな治療ターゲット/バイオマーカーを探求したいと考えている。従来の過活動膀胱治療が、“hyperactivityの抑制”であるのに対し、“hypersensitivityの抑制”という新しい過活動膀胱治療のコンセプトとなり得ると考えている。 H26年度は研究対象となるサンプル患者の選定、サンプルの採取を行っている。当院泌尿器科外来受診患者から、排尿症状、排尿障害治療薬の内服状況とその効果などの聞き取りを行い、また文書にて研究参加の同意の意思を確認した。研究参加に同意を得られた患者から順次サンプルの採取を行っている。現時点で研究対象となりうる患者をおよそ120名選定し、これらの患者からIPSS、OABSS、排尿記録をそれぞれ採取し、前立腺体積測定、残尿測定などを行ない、適合患者の選定を進めている。 その中から各基準に適合する患者(1.対照群:頻尿のない患者群 2.OAB/BPH治療薬にて頻尿が改善した患者群 3.OAB/BPH治療薬にて頻尿が改善しない患者群)を選び、血液サンプル、尿サンプルを採取する予定である。ただ各群20名の登録にはもう少し時間が必要である。症例数が当初予定に到達した時点で順次メタボロミクス解析を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メタボロミクス解析において、各群での有意差がでるには20例程度が必要とされているため、各群20例と設定した。しかし基準に適合する患者の選定に難渋しており、十分な症例数を確保できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
患者の選定を今後さらに進めていき、十分な症例数の確保に努める。また場合によっては症例の適合基準の変更、簡略化など行い、研究の推進を図ることも考慮している。 また少数例であっても予備実験としてメタボロミクス解析を行い、候補となりうる物質、バイオマーカー選定の可能性などを探ってみる方針である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は当初設定したサンプル数よりも少なかったため、サンプル処理、メタボロミクス解析は、1サンプル当たりの金額となるため、サンプル処理、メタボロミクス解析にかかる費用が予定よりも小額となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は今年度に回収できなかったサンプル分が増加するため、当初予定した額よりも増加する見込みである。現時点ではサンプル数は徐々に増加しており、そのため前年度の繰越金をこの増加分のサンプル回収、解析に使用する予定である。
|