平成26年度の結果より抗PSMAビーズを用いて前立腺癌患者の末梢血より前立腺癌関連エクソソームが精製できることが証明されたため、実験計画で予定したプロテインプロファイリングを試みたが、抗PSMAビーズで精製した前立腺癌細胞株由来のエクソソームはタンパク量が非常に少なく良好な結果が得られなかった。そのため前立腺癌の増殖に関与しているテストステロンにターゲットを定めELISA法で定量解析したところ、治療前進行性前立腺癌の患者から得られたエクソソームではテストステロン値が高かったが、ホルモン療法下にある患者ではテストステロン濃度が低く、前立腺癌細胞内の情報を反映している可能性が示唆された。 また同様にmRNAのプロファイリングを行うことを試みたが、前立腺癌細胞株を用いた実験においてエクソソーム内にmRNAが含まれている事は確認できたものの、ビーズを用いた精製ではmRNA量が非常に少なく網羅的解析は困難と判断し、前立腺癌の抵抗性に関与する個々のターゲットについて解析することとした。前立腺癌の増殖に関与するアンドロゲンレセプターのmRNAをターゲットとして、治療反応性への関与が報告されているアンドロゲンレセプターのvariant7に注目し、エクソソーム内のアンドロゲンレセプターとそのvariantついて定量的解析をおこなった。variant7強発現株である22Rv1細胞と弱発現株であるLNCaP細胞由来のエクソソームを抗PSMAビーズを用いて単離して解析を行ったところ、22Rv1細胞内のエクソソームにvariant7が強発現していた。進行性前立腺癌患者血清を用いた実験では、前立腺癌関連エクソソーム内にアンドロゲンレセプターが含まれていることが確認でき、今後の前立腺癌研究に寄与できると考えられた
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