研究実績の概要 |
三重大学倫理委員会の承認のもと、前立腺手術標本または前立腺生検組織から前立腺間質細胞の初代培養を行った。得られた組織の病理結果から、初代培養した前立腺線維芽細胞細胞は、前立腺癌関連線維芽細胞12例、正常前立腺線維芽細胞4例に分けられた。つぎに、それら前立腺線維芽細胞の産生する増殖因子・サイトカインをReal-time PCR法、ELISA法を用いて性状解析を行った。Real-time PCR法ではCollagen, TN-C, αSMA, EGF, FGF2, FGF7, HGF, IGF-1のmRNA遺伝子発現を比較し、ELISA法では培養上清中のVEGF, IL6, TGFβ1産生量を比較した。得られた結果は、TN-Cは有意差をもって前立腺癌関連線維芽細胞でmRNA発現上昇を認め、VEGF, TGFβ1産生量は有意差をもって前立腺癌関連線維芽細胞で分泌増加を認めた。Collagen, αSMA, EGF, FGF2, FGF7, HGF, IGF-1のmRNA遺伝子発現とIL6産生量は一定の傾向は確認できなかった。TN-C, VEGF, TGFβ1は癌の悪性化、浸潤、転移、上皮間葉移行、血管新生などに関与することが報告されており、今後は今回得られた間質細胞と前立腺癌細胞(アンドロゲン依存性LNCaP細胞、アンドロゲン低感受性E9細胞、アンドロゲン非依存性AIDL細胞)を組み合わせることで検証する。
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