研究課題/領域番号 |
26861271
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
清水 翔吾 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (90721853)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アンジオテンシンⅡ / 排尿反射 / 中枢性 / 脳内活性物質 / 頻尿 |
研究実績の概要 |
[明らかになったこと] 脳内活性物質アンジオテンシンⅡが、排尿反射を促すことを明らかにした。ウレタン(1.0 g/kg, i.p.)による全身麻酔下にて、12週齢雄性Wistar/STラットの右側大腿動脈に挿入したカテーテルを介して血圧/心拍数を連続的にモニターした。右側大腿静脈に生理食塩水注入(1.2 ml/h)用のカテーテルを挿入した。膀胱に膀胱内圧測定用のカテーテルを挿入し、シリンジポンプに接続して生理食塩水を注入(12 ml/h)し、排尿反射を測定した。ラットを腹位にて脳定位固定台に置き、3時間の安定後、ステンレスカニューレを介して側脳室へAngⅡ各用量(0.01, 0.03, 0.07 nmol)を1時間ごとに連続投与した。すると、アンジオテンシンⅡ濃度依存的に、排尿間隔の短縮が起きるという実験結果を得た。 [意義] アンジオテンシンⅡは、主に末梢性に血管を収縮させ血圧上昇を引き起こす生理活性物質として知られている。一方、脳内ではストレスに応答して産生される種々の生理活性物質の一つとして報告されている。現在の人間社会では、過剰な心理ストレスが原因で頻尿になる人が増えており、日常生活に支障をきたすことになる。しかし、こうしたストレス反応が排尿筋過活動を惹起する機序を、ストレスを受容する中枢神経系レベルで明らかにした報告は皆無であるため、作用機序解明の一助になると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
排尿反射、血圧を同時モニターしながら薬物を脳室内投与する実験系を組み立てることができたため、アンジオテンシンⅡ脳室内投与による頻尿モデルの作製が可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
アンジオテンシンⅡが脳内アンジオテンシンⅡ受容体を介して、排尿反射を促しているか明らかにするため、アンジオテンシンⅡ静脈投与による排尿反射の影響や、アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬を脳室内前処置することにより明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予備実験での動物実験の数を減らすことができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
動物実験に使用する実験器具が一部摩耗して使用できなくなったため、購入に充てる。
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