研究課題
脳内伝達物質の一つであるアンジオテンシンⅡ(AngⅡ)を、ウレタン麻酔下(1.0 g/kg, ip)の雄性Wistar系ラットに、脳室内投与 (30 pmol/3 ul /rat) すると同時にsingle cystometryを行った。その結果、AngⅡは、溶媒投与群と比較して、残尿量及び排尿効率に影響することなく、一回排尿量及び膀胱容量を減少させた。また、continuous cystometryにおいて、脳室内投与AngⅡは、溶媒投与群と比較して、排尿間隔の短縮を引き起こしたが、最大排尿圧には有意な影響を与えなかった。これらの結果から、脳内AngⅡは、遠心性(脳から膀胱)経路ではなく脳幹の排尿中枢回路に作用して、膀胱からの求心性(膀胱から脳)刺激に過敏に反応する状態を起こすことが推測された。一方、AngⅡ(100 or 300 pmol/300 ul/rat)を同ラットに静脈内投与したところ、血圧の有意な上昇が見られたが、排尿間隔には影響は見られなかった。つまり、急性期において、末梢でのAngⅡは排尿反射に影響を及ぼさない可能性が示唆された。前年度、我々は、Ang IIは中枢性AT1受容体を介して排尿反射を惹起することを報告した。Ang IIが脳内AT1受容体を介して排尿反射を惹起する機序として、AT1受容体の下流にあるNADPH oxidase (Nox) の関与に着目した。そして、Nox阻害薬であるApocyninを脳室内投与すると同時に、continuous cystometryを行った。その結果、排尿反射の間隔の乱れがみられ、脳内Nox及びNoxに起因する活性酸素が排尿・畜尿の制御に重要な働きをする可能性が示唆された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
J Pharmacol Sci
巻: 132 ページ: 71-77
10.1016/j.jphs.2016.08.007