研究課題
本研究では、約6mm径の軟性ファイバースコープを用いた表在性膀胱腫瘍に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術の手術手技を確立を目指した。従来の経尿道的膀胱腫瘍切除術で一般的に用いる手術器具は使用せず、消化器内科領域で好んで用いられている内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)用デバイスでの応用ができないかを検証した。解剖献体を用い、経尿道的手術操作を実施した。ESDに用いる処置具は基本的には2.6mm径以上の太さであり、通常の軟性膀胱鏡(チャンネル径2.0mm)には挿入不可能であり、まず、軟性気管支鏡(FB-19TX;PENTAX)を用いた予備実験を実施した。消化器内科領域のESD手技にて、経尿道的に膀胱内の仮想腫瘍領域を切除することは可能であった。しかし、軟性気管支鏡は本来経尿道的操作を目的に作成されたものではなく、経尿道的操作では非常に取り回しが硬く、膀胱内のあらゆる部位への対応という点では、手術操作は困難であった。予備実験を踏まえ、本来膀胱内の観察や処置を目的に作成された軟性膀胱鏡を用いた実験を検討した。軟性膀胱鏡(CYF-200;OLYMPUS)でのESD用処置具の使用を試みるため、今回は、インパクトシューター(N-type;TOP)を用いた。本製品は内視鏡の処置用チャンネルの数やサイズを増やすことを目的とするものである。本製品を用いることで、軟性膀胱鏡でも2.8mm程度までのESD用処置具の使用が可能となる。4献体にてそれぞれ5か所のESD手技を実施した。ほぼ意図通りにESD手技は可能であったが、健常人と比較すると解剖体は尿道や膀胱組織が硬く、インパクトシューターによる膀胱鏡の肥大化の影響もあり、日常診療での応用には太いチャンネル口径を有した軟性膀胱鏡の開発が望まれる。
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