| 研究課題/領域番号 |
26861277
|
|---|
| 研究機関 | 琉球大学 |
|---|
研究代表者 |
須田 哲司 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40423347)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
| キーワード | 前立腺癌 / 糖鎖 / 糖蛋白 |
|---|
| 研究実績の概要 |
これまでのRM2抗体を用いた免疫組織学的解析から、RM2糖鎖は前立腺癌特異的に発現し、癌の悪性度を示すGleason scoreと相関することが明らかになっている。そのため、このRM2糖鎖を持つ糖蛋白は癌の新規診断マーカーとなり得る。
本研究において、我々は前立腺癌細胞株および正常由来細胞株に対するアミノ酸解析を行い、新規診断マーカーの候補蛋白を複数同定した。更に、これらの候補蛋白に対する抗体を用いた前立腺癌細胞株のウエスタンブロット解析によって、腫瘍特異性の高い蛋白を決定している。そこで本年度は、病理組織検体および血液検体を用いて、これら候補蛋白の腫瘍組織における発現量や局在解析、血液中への分泌量を解析した。
免疫組織学的解析の結果、腺上皮細胞において発現が確認された候補蛋白の内３つの糖蛋白では、高悪性度の癌で強く発現する傾向が見られた。そこで、さらに検体数を増やした解析を進め、悪性度等臨床病理学的所見との関連性を解析している。また、この解析から腺上皮細胞での発現が確認され、その局在から細胞外への分泌の可能性が推察される糖蛋白も明らかになった。そこで、前立腺癌患者の血液中における各糖蛋白量を測定し悪性度との関連性を明らかにすることを試みた。現在、ELISA解析において十分な検出感度が得られていない蛋白もあり、検出感度の向上が課題となった。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RM2抗体が認識する糖蛋白の中から、前立腺癌の診断に有用と思われる候補蛋白は既に決定している。まだ少数例ではあるが前立腺癌組織における免疫組織学的解析により、悪性度と相関する傾向がある蛋白を同定している。更に、血液検査への発展が期待される分泌蛋白の解析も進んでいる。検出感度に問題が見られる蛋白もあるが、当初より計画していた当該糖蛋白の抗体とRM2抗体とのサンドイッチELISAの構築へと変更し、検出感度の向上を試みている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
今回診断標的候補とした蛋白について、前立腺癌病理組織上における発現量および特異性を明らかにし、臨床病理学的な悪性度との関連性を解析する。また、同糖蛋白に対して前立腺癌患者の血中蛋白量を測定し、臨床所見等との関連性を解析する。これらの解析結果を基に血清診断マーカー・組織診断マーカーとしての有用性を評価する。
一方で、今回標的候補とした糖蛋白の前立腺癌における生物学的機能を解明する。当該糖蛋白によって活性化される細胞内シグナルカスケードを明らかにし、前立腺癌細胞株を用いた阻害実験・添加実験等を行うことで、その細胞内機能を明らかにする。この解析から、増殖シグナルとの関連性が明らかとなるため、治療標的としての有用性を検討する。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
当該年度購入予定の消耗品の中で、残額4187円で購入出来る物品が無かったため。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
次年度使用予定額が生じたことによる消耗品費としての使用計画に変更はなく、次年度の直接経費と合わせて当該年度に購入予定だった分子生物学的解析に必要な試薬・消耗品の購入費として使用する。その他、細胞培養関連、免疫組織学的解析等に必要な試薬および消耗品の購入、本研究成果の報告・発表にかかる経費として使用を計画している。。
|
