研究課題
【対象と方法】1. 26年度の皮下移植モデルの実験で保存した皮下腫瘍からRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行い、NCL1投与により亢進している因子を探索した。 2. 1.で亢進していたオートファジーに着目し、NCL1投与によるオートファジーの誘導や阻害剤クロロキン(CQ)の併用による効果を検証した。透過型電子顕微鏡、ウェスタンブロット、蛍光免疫染色、WST-8アッセイを用いて検討した。 3. 前立腺癌に対して前立腺全摘術を施行した患者の臨床検体からTissue arrayを作成し、蛋白発現について検討した。【結果】1. Atg5やAtg7などのオートファジーに関わる遺伝子の発現が亢進していた。 2. NCL1投与群において、透過型電子顕微鏡ではオートファゴソームおよびオートライソゾームが観察された。また、ウェスタンブロットや蛍光免疫染色では、NCL1投与により、オートファジーのマーカーであるLC3-Ⅱが発現亢進しており、CQの併用によりLC3-Ⅱの発現亢進が(蓄積により)増強された。WST-8アッセイでは、CQの投与では有意な細胞数の減少は認めなかったが、NCL1にCQを併用することでNCL1単独投与に比べて有意に生存細胞数の減少が増強された。以上より、NCL1によりオートファジーが誘導されており、オートファジーの阻害剤を併用することで、NCL1の抗腫瘍効果の増強が得られることが示された。皮下腫瘍からの抽出蛋白のウェスタンブロットでは、NCL1投与群でLC3-Ⅱの発現が亢進していた。 3. 前立腺癌組織において、対照となる正常前立腺と比べて、LSD1の発現が高くなっていた。さらに、前立腺癌の悪性度の指標となるGleason scoreごとにLSD1の発現について検討したところ、Gleason scoreの高い悪性度の高い癌において、有意にLSD1の発現が高くなっていた。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Oncotarget
巻: 6 ページ: 2865-2878
10.18632/oncotarget.3067
泌尿器外科
巻: 28 ページ: 1289-1292