本年度は、減量による尿路結石予防効果の検討については、本学附属病院泌尿器科外来を受診した肥満を合併した尿路結石患者および内分泌内科を受診した肥満/糖尿病患者を対象として、①身体情報②結石情報③既往歴を調査した上で、食事療法や運動療法による減量プログラムの開始前および開始後に①身体情報:体重、BMI、腹囲、血圧②血液検査:T-Chol、TG、HDL-C、FBS、HbA1c、インスリン、UA、Ca、Na、K、P、Cr、③24時間尿検査:尿量、pH、クエン酸、シュウ酸、UA、Ca、Mg、Na、K、P、Crを測定し、データ集積を行っております。患者登録数が少ないことから、近隣の特定健診にも参加し、肥満患者をリクルートしております。2005年尿路結石症全国疫学調査のデータから結石成分別に、メタボリックシンドロームと疾患重症度および尿化学異常との関連性について検討し、蓚酸カルシウム結石ではメタボリックシンドロームの因子の集積よって疾患重症度が高くなり、高カルシウム尿が多くなることから、メタボリックシンドロームは蓚酸カルシウム結石形成にも関連していることが示唆されました。American Urological Association2017で発表予定であり、現在論文を投稿中です。 メタボリックシンドロームに用いられる薬物による尿路結石予防効果の検討については、研究代表者は以前にヒトのメタボリックシンドロームに類似した病態を呈するOLETF ラットと対照のLETO ラットを用いて、OLETFラットではチアゾリジン誘導体であるpioglitazoneによって酸性尿の有意な改善がみられることを報告しておりますが、その他の薬剤でも検討する予定でしたが大幅に遅くれております。今後も引き続き検討していく予定です。
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