研究課題
高線量率または低線量率密封小線源療法が行われた臨床的に転移を認めない 59 例を対象とし、各種密封小線源療法の針穿刺手技の直前と終了直後に末梢血を採取し、血中循環腫瘍細胞 (CTC=circulating tumor cell) の数を測定した。全 59 例において針穿刺前の血液サンプルから CTC は検出されなかった。一方で、同手技終了直後の血液サンプルからは 59 例中 7 例に検出され統計学的有意差を認めた。今回の研究により、密封小線源治療の針穿刺における血中循環腫瘍細胞の血管内流出がある一定頻度で発生することを確認することができ、同治療中の医原性血行性転移の可能性を知り得ることができた。しかし、医原性に血管内放出された癌細胞が生物学的に転移能を有しているかは解明されていない。今後の展望として、これら医原性の血中循環腫瘍細胞の遺伝的解析を行い転移能を有する血中循環腫瘍細胞細胞の詳細解明が必要とされており、現在、追加的な検証を行っている。平成28年度は、この研究成果を日本国内の学会に留まらず英国で行われた欧州泌尿器科学会と米国の世界ブラキ治療学会で発表を行い、また、英語論文として2017年1月に掲載を行い、研究成果を広く社会に発信することができた。前立腺組織内に針を刺入する密封小線源療法(組織内照射法)は比較的歴史が浅く、優れた治療成績が確認され始めたものの、その再発様式に局所再発を認めずに遠隔転移が散見されている。今回の研究とその成果の学会発表を通して、今後の前立腺癌放射線治療の治療成績向上に欠くことができない非常に重要な情報を知ることができた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 18 ページ: E128
10.3390/ijms18010128.
Journal of Contemporary Brachytherapy
巻: 8 ページ: 95-103
10.5114/jcb.2016.59686