研究課題/領域番号 |
26861296
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
服部 盛也 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80464907)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Axl / Gas6 / UTUC / prognosis |
研究実績の概要 |
Axlの、尿路上皮癌における発現の意義、及びその分子生物学庭な作用機構について明らかにする事を目的とした。 まず我々はヒトUC細胞T24、HT1376、J82、5637、UMUC3についてWestern blotting法を用いてAxl発現の有無を確認した。結果HT1376株についてはAxlの発現が極めて弱く、他の4種の細胞株については発現が強いという結果であった。続いてAxlに関する免疫染色免疫染色を行った。161例について免疫染色を行い、Kaplan-Meier法を用いて疾患特異的生存率に対して統計学的にAxl発現が有意であるかを検討した。Axl発現の強弱は疾患特異的生存率と相関(log-rank test:p<0.001)し、またその発現が転移の有無と統計学的に有意に相関していた。AxlのリガンドであるGas6に関しても免疫染色を行ってその発現と予後との間に相関関係があるかについて検討を行った。結果、Gas6の蛋白発現はAxlの蛋白発現と互いに相関し、尚且つAxlと独立した術後の予後規定因子である事が判明した。多変量解析では、病理学的Tstage、Axl染色、Gas6染色の3要素が上部尿路上皮癌の術後の予後を規定する事が判明した。 続いてAxlリン酸化阻害薬の抗腫瘍効果についてin vitroにて検討を行った。尿路上皮癌細胞株としてはUMUC3(Axl陽性株)を用いた。Axlリン酸化酵素阻害薬(R428)を用いた細胞障害性に関する検討では、IC50は4.78x10-6Mであり、単独での抗腫瘍効果を認めなかった。しかし同薬を用いてInvasion asseyを行うと、IC50は6.1x10-7Mであり、浸潤能を抑制する傾向が見られた。また、抗癌剤(シスプラチン)との併用効果についてWST asseyを用いて検討を行ったが、相加効果、及び相乗効果を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Axlのリン酸化に関しての検討を行っているが、分子が極めて不安定であり、その下流の分子機構の評価の為に必須であるp-Axlを定量化する事が技術的に困難である。現在試薬、手法を変更して実験を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在試薬、手法を変更して実験を継続中である。mouseのin vivoでの検討では、マウスUC細胞株にAxlの発現が認められなかった為に検討を中断している。他のin vivoの検討を追加出来るよう検討中である。
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