研究実績の概要 |
肥満に関連の深い腎癌において、メタボリックシンドロームへの関与が指摘されている脂肪酸受容体GPR120の動向と影響を検討する。 1.まず、GPR120をagonistであるGW9508で活性化することによる短期的な抗腫瘍効果とその至適濃度を調べるため、WST assayを用いて腎癌細胞株のCaki-1に種々の濃度のGW9508 (0nM(コントロール), 10nM, 100nM, 1000nM, 10000nM) を投与したが、明らかな抗腫瘍効果は認めず、また濃度の違いによる差も認めなかった。TNFあるいはLPSを加えた系においても、同様の結果であった。また、GW9508の替わりにDHAを投与した場合も、抗腫瘍効果は認めなかった。769-PやACHNといった他の腎癌細胞株においても、各濃度で明らかな抗腫瘍効果は認めなかった。 2.WST試験でagonistの至適濃度が同定できなかったため、まずは1000nMでGW9508をCaki-1に投与し、投与前、投与後24時間、48時間、72時間の細胞でWestern blotを行ったが、GPR120の発現に明らかな変化は認めなかった。濃度および細胞株を変えても有意な変化は認めなかった。 3.次に、Caki-1および769-PにGW9508を定期投与することによる長期の抗腫瘍効果を調べたが、2ヵ月間の観察期間を経ても細胞増殖能に明らかな変化を認めず、Western blot法によるGPR120の発現も明らかな上昇傾向あるいは低下傾向を認めていない。DHA投与群においても、同様に明らかな変化を認めていない。
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