研究課題
去勢抵抗性前立腺癌（Castration Resistant Prostate Cancer: CRPC）は難治性であり、新規治療戦略の確立は泌尿器科医に課せられた急務の課題である。申請者は難治性癌における幹細胞性・治療抵抗性獲得プロセスと、山中因子による体細胞からの多能性幹細胞であるiPS細胞誘導・獲得プロセスの類似点に着目し、がん幹細胞性遺伝子ネットワークを標的とする新規薬剤スクリーニング系を確立し報告してきた。本研究は幹細胞性・抗がん治療耐性を内包する遺伝子ネットワークを標的とし、既存薬剤を用いた抗がん剤治療耐性癌から抗がん剤感受性癌へのネットワークへの転換・再プログラム化・初期化による革新的・独創的な新規治療戦略の確立を目的として以下の研究を実施した。オープンソースで体系的に収集され公開されている遺伝子データベースを解析し、これらの遺伝子発現プロファイルを申請者独自のアルゴリズムとバイオインフォマティクスで分析・解析することで新規幹細胞関連マーカーを同定した。in vitroの検証実験系として、申請者はヒト前立腺細胞株LNCaPとヒトCRPC細胞株C4-2をアンドロゲン除去環境下で長期間(6-18月間)培養し新規にCRPCヒトPCa細胞株LNKO6/12/18 とC4-2AT6/12/18を樹立して、機能解析の対象とした。内因性のがん幹細胞マーカーなどの発現に基づき、新規前立腺癌細胞株を薬剤スクリーニング実験系の対象として、上記プラットフォームに基づいた遺伝子ネットワークの初期化・再プログラム化による候補薬剤を選択し、in vitroにおいてそれら薬剤の有効性を検定し、数種類の候補物質を同定した。引き続き機能解析を進めていく予定である。
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Human Pathology 2016 in press
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