研究課題
Aim-1:セラミドの抗運動性分子としての同定と作用機序の解明:卵巣がん細胞のセラミド処理は細胞の仮足形成および化学走化性を強力に減弱させた.これらの細胞運動性はPI3KC2beta依存的であることから,セラミドがPI3KC2beta経路の活性化を抑えることで細胞運動性を低下させると推察された.この分子機序を明らかにするために分子生物学的なアプローチで探索しところ,セラミドはPI3KC2betaと相互作用することが判明した.これらのことを考え合わせると、セラミドがPI3KC2betaと相互作用することで本分子の活性化を抑えることで、細胞運動性を減弱させると考えられる.Aim-2, セラミドリポソームの抗卵巣がん転移効果と臨床応用への可能性:(a) このPI3KC2beta依存的な細胞運動性の転移への関与を明らかにするために,本酵素ノックダウンの転移への効果を検証した.その結果,ノックダウン細胞の転移能は減弱することが判明した.したがって,SKOV3卵巣がん細胞では,PI3KC2betaは転移を促進する分子であると考えられる.(b) セラミド製剤の抗転移効果を検証するために,ヌードマウスを用いたヒト卵巣がん細胞 in vivo 転移モデルを採用した.この転移マウスモデルにトランスフェリン結合型セラミドリポソーム製剤(15 mg/kg/日)を隔日に4週間腹腔内投与を行った.その結果,セラミドリポソーム投与により,腹腔内での卵巣がん細胞の播種転移はセラミド非含有リポソーム製剤投与群に比して有意に減少した.この結果から,セラミド製剤は卵巣がんのPI3KC2beta依存的な播種転移を抑える新しいタイプの薬剤である可能性が考えられた.以上のことから、セラミド製剤はPI3KC2beta依存的な卵巣がん細胞の転移を抑えることが判明した。これらの知見はセラミド製剤の卵巣癌治療薬として開発する可能性を示唆するものである。
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Oncogene
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10.1038/onc.2015.330.
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