研究実績の概要 |
近年の我が国の晩婚化、晩産化の傾向に伴い、卵子の加齢による妊孕性の低下は、現在の生殖医学において最も大きな問題の一つとなっている。そこで、卵子の加齢性変化として重要と考えられる紡錘体機能およびミトコンドリア機能について、以下の検討を行った。 (1)卵子における紡錘体の蛍光イメージングと画像解析 昨年度は染色体分配を担う紡錘体の蛍光イメージングについて、ヒト卵子を用いた試験に先立ち、動物卵子を用いた検討を行った。実験動物としてはマウスが代表的ではあるが、げっ歯類の卵子における紡錘体の形状は、他の動物種とは異なるいくつかの特徴を有する。そこで、マウスばかりでなく、紡錘体形状がよりヒトに近い家畜の卵子も用いて検討を行った。また、画像解析ソフト(ImageJ)を用い、得られた蛍光写真の画像解析についても試みた。さらに、本学で開発された電界撹拌型迅速免疫染色装置を紡錘体の蛍光染色に導入を試みた。 本装置を卵子の蛍光染色に導入することにより、極めて短時間で、かつ少量の一次抗体の使用でも卵子紡錘体の形態をとらえることが可能になった。(Shirasawa H, Kabashima K et al. Scientific Reports 2015) ミトコンドリア機能の解析に関しては現在さらに検討をすすめている。
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