治療開始前の卵巣がんの約25%で静脈血栓塞栓症(VTE)が発生している。Tissue factor (TF)は外因系血液凝固の起点となっている。そこで、卵巣癌128名でTF発現とVTE発症の関連を研究した。治療開始前に全例でVTEのスクリーニングを行い、免疫染色でTFの発現強度を判定した。明細胞癌患者でのVTE発生率は34%で非明細胞癌より有意に高率であった。TF発現強度の上昇に伴い、明細胞癌の割合とVTE発生率が高くなった。また、多変量解析でTF発現強度およびDD高値がVTE発生の独立した有意なリスク因子だった。TF発現は卵巣癌でのVTE発生に関連し、明細胞癌で有意に高いことが判明した。
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