研究課題/領域番号 |
26861313
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長谷川 亜希子 東京大学, 医学部附属病院, 臨床登録医 (50598159)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 |
研究実績の概要 |
子宮内膜症の治療にも用いられる低用量ピルはエストロゲン・プロゲスチン合剤であるがその成分は様々に改良されてきている。低用量ピルのヤーズはプロゲスチンとしてドロスピレノン(以下D)を配合した新薬であり子宮内膜症の治療効果が証明されているが、その効果はエストロゲンとの合剤としてものであり単剤での治療効果については詳細不明であった。今回我々は子宮内膜症間質細胞(EcSC)、子宮内膜間質細胞(EuSC)に対するDの単剤での直接作用について検討した。1番目にEuSCに対するDの効果につき検討した。EuSCにDを8日間投与し脱落膜化を鏡視下に形態学的に、またプロラクチン産生をELISA法にて確認した。またこの脱落膜化はRU486の投与にて相殺され、PRを介して作用していることが確認された。この結果から、Dは子宮内膜間質細胞を脱落膜化させることにより増殖を抑制し子宮内膜症の進展を抑制している可能性が示唆された。2番目に、EcSCに対するDの効果につき検討した。EcSCにDを投与するとBrdU取込能が低下した。この作用はRU486で相殺されPRを介していることを確認した。またアルドステロン(A)はミネラルコルチコイドレセプター(MR)にagonistとして作用し、A存在下ではDはMRのantagonistとして作用することが証明されているが、A投与にてもBrdU取込能に変化はなくこの系にMRは関与していないことが確認された。これらのレセプターの関連についてはEcSCにPR siRNA及びMR siRNAをtransfectionさせた細胞での実験でも証明された。これらの結果より、DはEcSCに直接作用してその増殖を抑制していることが証明された。以上よりDは子宮内膜症間質細胞および子宮内膜間質細胞に直接作用を有することで子宮内膜症の進展を抑制することが証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子宮内膜症に関連した研究はできたが、主眼をおいている小胞体ストレスやストレス因子の研究は未施行であるため。
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今後の研究の推進方策 |
子宮内膜症の進展に関する諸因子の研究をすすめ、その中でストレス因子による子宮内膜症の進展要因についても解明したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進行が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に実験進行させていくうえで使用する予定である。
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