研究課題
我々は遺伝子改編酵素群AID/APOBECのHPV感染病態における役割について研究を進めている。これまでにAPOBC3はHPV遺伝子に変異を導入する事をin vitroで示した (Wang et al. J. Virol. 2014)。またHPVのウイルス粒子の感染性を低下させる事を示した(Ahasan et al. Biochem Biophys Res Commun. 2015)。本年度は遺伝子改編酵素群AID/APOBECがHPV16 E2遺伝子に連続するC-to-U変異(hypermutation)を、in vivoで導入する事を、子宮頸部異形成検体を用いて示した。hypermutationはE2以外にもHPV早期遺伝子の広範囲に導入され、Long Control Regionなど特定の領域に集中する傾向がある事も見いだした(Kukimoto et al., J. Med Virol. 2015及びWakae et al. Virology 2015)。またHPV16(+)子宮異形成組織由来細胞株W12を用いて、double strand break及びインテグレーションが高カルシウム培地にて誘導されるという予備的知見を得ており、さらに検討を進めている。
2: おおむね順調に進展している
APOBECによりHPVゲノムにhypermutationがin vivoで導入される事を示せた事は順調な成果と言える。またインテグレーションやDNA損傷について評価する系についてもW12を用いて立ち上がる目処が立っており、引き続き取り組んで行く。
W12の系を用いて、引き続きAPOBECの発現と、ゲノム不安定性やインテグレーションの惹起の相関及びメカニズムについて検討を進める。また不死化表皮細胞などよりprimaryに近い系でも実験系の立ち上げを試みる。臨床検体についてもAPOBECの発現量とインテグレーションの相関についてデータを引き続き蓄積する。
46197円の未使用額が生じたが、翌年度に使用する事が効率的と考えたため、平成28年度に持ち越しにした。
46197円の未使用額は消耗費購入等にあてる。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
Plos Pathogen
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