本研究の目的は、「HPV感染により癌化した子宮頸部細胞をin vivo蛍光イメージングを応用して可視化すること」である。 本年度は主に、培養細胞での実証実験を行い、合成物の物性評価および特異性評価を行なった。「ICGと抗体の蛍光分子イメージングプローブ」は、活性ICGと抗EGFR抗体を混和(ICG:抗体=10:1)して限外濾過膜に通し、紫外可視分光度計を用いてスペクトルを測定して、標識率を決定した。複数回検証し、再現性高く、同様の標識率で作製可能となった。 現在は、合成物の物性評価のひとつとして、電気泳動あるいはサイズ排除クロマトグラフィーで、Free ICGがどこまで残っているかの評価を行なっている。 そして、 作製したプローブにより、HPV感染培養細胞(Hela細胞)におけるEGFR発現を、ICG用フィルターを用いた蛍光顕微鏡で観察し、ICGの発光を観察した。画像処理システムを併用することにより、より高い解像度とコントラストを得ることができ、きわめて微弱な蛍光も観察可能であった。 現在は、培養細胞の環境の固定化、抗体反応や固定のタイミングの決定、非特異のみえない観察条件の決定などブロッキングによる特異性評価を行なっている。 さらには、上記に並行して、動物実験の準備を行なっている。マウスの皮下に、①Hela細胞もしくは②EGFR発現をノックダウンしたHela細胞を、それぞれインジェクションして腫瘍を形成し、腫瘍に直接抗ICG修飾EGFR抗体を添加してin vivo イメージングで観察し、さらに、蛍光レベルと病理組織所見との比較を行う予定としている。
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