研究実績の概要 |
臨床検体を用いた絨毛性疾患及び胎盤組織におけるC2GnTの発現を検討した。胞状奇胎、侵入奇胎及び絨毛癌での発現量の変化を確認し、本酵素が絨毛性疾患の悪性化や胎盤形成(EVT浸潤)に関与する分子となり得るかを検討した。 1、患者からのインフォームドコンセントを得て集積した絨毛性疾患(胞状奇胎10例、侵入奇胎4例、絨毛癌8例、PSTT3例)より組織切片を作成した。抗C2GnTポリクローナル抗体を用いてC2GnTの免疫組織染色を施行し、絨毛癌で発現が強い傾向にあることを確認した。 2、絨毛癌細胞株Jar, Bewo, JEG-3, CC1, CC3, CC4, CC6およびEVT細胞株HTR-8/SVneo、さらに絨毛性疾患組織と胎盤検体の一部から蛋白およびmRNAを抽出し、それぞれウエスタンブロットおよびRT-PCRにて発現量を評価した。絨毛癌細胞株、絨毛癌組織においてC2GnTの蛋白、mRNAは強発現していた。また、細胞株の培養上清におけるregular hCGとセリン結合型H-hCG値を測定するH-hCG値を測定した。絨毛癌細胞株Jar, Bewo, JEG-3のmRNA発現強度とH-hCGのhCGにおける割合は相関していた。 3、上記結果より、C2GnTが絨毛性疾患の悪性化に関与していると考えられたため、C2GnTの機能解析を行うために発現抑制モデルを作成した。絨毛癌細胞株JarにC2GnT siRNAを導入し、C2GnTの発現量をウエスタンブロットで解析し、発現が抑制されていることを確認した。
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