研究課題
卵巣癌に関連する遺伝子とされるTP53、ARID1A、PIK3CA、PTEN、CTNNB1、KRAS遺伝子が代謝に与える影響を検討するために、不死化ヒト卵巣表層上皮細胞(HOSE細胞)に各癌関連遺伝子を遺伝子導入を試みた。まず、ワーブルグ効果を示すことがわかっている卵巣明細胞癌において約半数に遺伝子変異が報告されているARID1A遺伝子をshにより発現抑制株を作成した。mutant TP53、mutant PIK3CA、mutant CTNNB1、mutant KRAS、sh-PTENをHOSE細胞に導入しようと試みたが導入が困難であったため、まずはARID1A遺伝子発現抑制株の発癌表現型を確認した。ヌードマウスへの皮下移植では腫瘍が形成されないことが多く、安定した結果を得ることができなかった。
4: 遅れている
1)遺伝子改変HSOE細胞における発癌に関わる表現型の確認:遺伝子導入が進んでいない。発癌にかかわる表現型が予想された結果にならない。2)遺伝子改変HOSE細胞の発現マイクロアレイ解析(バイオインフォマティクス)により、各遺伝子シグネチャーの作成とパスウェイ解析、3)遺伝子改変HOOSE細胞を用いた網羅的メタボローム解析(メタボロミクス)により、各遺伝子の代謝への影響を解明、4)新規治療標的物質や遺伝子の治療実験、ヒトサンプルを用いた早期診断法の開発:2)から4)は始めることができないでいる。
卵巣明細胞癌細胞株のHNF1B発現抑制株を用いた網羅的メタボローム解析では、糖代謝、アミノ酸代謝、グルタチオン代謝などが大きく変わることがわかっている。この細胞株において発癌に関わる表現型が変わるかを確認する。遺伝子変異のみが代謝に関わるわけではないため、代謝が大きく変わっている卵巣明細胞癌を用いて代謝に関わる因子を探索するためにARID1Aが属するSWI/SNF複合体や、その他の遺伝子などに遺伝子変異などのゲノム異常がないかを検討する。また、代謝に大きな影響を与えているHNF1Bが、卵巣明細胞癌の特徴(抗癌剤耐性、血栓の合併、遅い増殖能)に関わるかを検討する。
本年度予定していた解析の一部が予定通り進まなかったため、次年度に行うこととした。その為、予定していた諸費用も次年度へ繰り越すこととした。
成功した複数の癌関連遺伝子導入を進め、本年度予定していた代謝解析等、研究計画を進める予定である。
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