研究課題
代謝に関わる遺伝子を検索するために、代謝異常を示す卵巣明細胞癌において、どのような遺伝子変異やコピー数異常があるかを検討するために明細胞癌39検体を用いてエクソームシークエンス解析を行った。遺伝子変異解析では426遺伝子に変異を認め、62%にARID1A遺伝子、51%にPIK3CA遺伝子、10%にKRAS遺伝子、ARID1B遺伝子変異をそれぞれ認めた。コピー数異常解析では、染色体8qの増幅を64%、20qの増幅を54%、17qの増幅を46%、19pの増幅を41%に認めた。染色体8qにはMYC遺伝子、17qにはERBB2、HNF1B、STAT3遺伝子がある。また、欠失はSMARCA4遺伝子がある19pは41%に、RB1遺伝子がある13qは28%に認めた。遺伝子変異とコピー数異常を統合すると、85%にSWI/SNF複合体に属する因子に、82%にKRAS/PI3Kシグナルに、75%にMYC/RBシグナルに異常を認めた。次にSWI/SNF複合体に着目して解析した。免疫組織染色では卵巣明細胞癌の46.3%にARID1A遺伝子がコードするBAF250a発現の消失を認めた。SWI/SNF複合体全体で見ると、7.8%は1因子のみ、23.2%は複数因子に発現消失を認めたSWI/SNF複合体発現の消失因子多いと有意に進行期が多く、複合体の発現消失は累積的に無病生存期間、全生存期間ともに予後不良であった。多変量解析では病期と、SWI/SNF複合体の発現消失が独立予後予測因子となった。コピー数異常解析では、SWI/SNF複合体の発現消失がない症例は、発現消失のある症例と比較してコピー数異常がより強かった。以上の結果は、卵巣明細胞癌には、SWI/SNF複合体の発現が消失した予後不良の群と、SWI/SNF複合体の発現がありコピー数異常が多い予後良好群との2つの亜型が存在することを示唆している。
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