研究課題/領域番号 |
26861326
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高田 友美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30437420)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 婦人科腫瘍 |
研究実績の概要 |
子宮頸部小細胞癌は稀な腫瘍であるが、最も予後の悪い疾患の一つであり、その治療法は確立されておらず、新しい治療法が求められている。そこで、新たな治療標的や診断の鍵となる蛋白質を同定することを目的とした。子宮頸部小細胞癌に特異的に発現する蛋白質を解析するため、子宮頸部小細胞癌、子宮頸部粘液性腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、肺小細胞癌、肺粘液性腺癌の手術検体から作成した3次元培養細胞塊(CTOS)と子宮頸部小細胞癌と子宮頸部粘液性腺癌細胞株を用いて、iTRAQ法を行ない、網羅的蛋白解析を行った。このiTRAQにおいて、粘液性腺癌、扁平上皮癌の両方に比して小細胞癌で発現が増強している蛋白質を14種類同定した。これらの蛋白質について文献的検索を行い、続いて標的とする蛋白質の評価を行うこととした。まず、その一つのsecretagoginに着目し、免疫組織化学染色を行ったが、iTRAQ法に使用したうち、2種類の子宮頸部小細胞癌については発現を認めたが、その他の臨床検体では発現が陰性であった。そのため、臨床検体では、再度染色の条件について検討を行うこととした。続いて、14種類の蛋白質のうち、IGFBP-2について検討を行う予定としている。 またiTRAQによる網羅的な蛋白解析により、肺、子宮における、小細胞癌、粘液性腺癌の蛋白質の発現パターンは臓器特異性を超えて、組織型でそのパターンが共通することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手術検体の3次元培養細胞塊と細胞株の網羅的iTRAQにより、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部粘液性腺癌に比して、子宮頸部小細胞癌に特異的に発現が増加している蛋白質を14個同定することができており、おおむね順調に進展していると考えられる。同定された14個の蛋白質についての検討がまだ十分ではなく、今後の検討が必要と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、同定された蛋白についてさらに文献的考察を加え、さらにターゲットとする蛋白質の個数をしぼっていく予定である。手術標本について、免疫組織化学染色を行い、細胞株を用いて、蛋白質の機能解析、選定蛋白質の遺伝子導入及び発現抑制を行う。また、選定蛋白質の分子標的薬の同定、中和抗体の作成を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
選定蛋白質の分子標的薬の同定、中和抗体の作成、免疫組織化学染色、細胞株を用いた蛋白質の機能解析、選定蛋白質の遺伝子導入及び発現抑制を次年度に行う予定であるため、物品の購入を控えた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究を円滑に進めるために必要物品を購入する予定である。
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