研究課題/領域番号 |
26861330
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
城崎 幸介 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80721323)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ゲノムワイド解析 / 脱落膜化遺伝子発現制御機構解明 |
研究実績の概要 |
ヒト子宮内膜の脱落膜化過程においては、様々な遺伝子の発現が劇的に変化する。C/EBP betaは脱落膜化過程において様々な遺伝子の発現を調節している重要な転写因子のひとつである。本研究では、脱落膜化過程で発現が変化する遺伝子について、プロモータ領域のヒストン修飾がどのように変化するか、さらに、このヒストン修飾変化と遺伝子の発現変化に C/EBP betaがどのように関与しているのかを次世代シークエンサーを用いて、ゲノムワイドに解析している。 これまでに、通常の培養下にて脱落膜化誘導した ESC について、C/EBP beta抗体により ChIP アッセイを行った。ChIP アッセイにより得られた DNAについて、次世代シークエンサーによる ChIP-sequenceを行った。また、siRNA によりC/EBP betaをノックダウンした後、脱落膜化誘導したESC について、ヒストン修飾抗体 (H3K27ac) によるChIP アッセイを行った。この ChIPアッセイにより得られたDNAについて次世代シークエンサーによるChIP-sequence を行った。さらに、ESCの通常培養下での脱落膜化における遺伝子発現の変化、C/EBP beta をノックダウンした ESC の脱落膜化での遺伝子発現の変化を調べるために、mRNA-sequence を行った。 これまでの研究の遂行により、転写因子 C/EBP betaが ESC の脱落膜化において変化するヒストン修飾 (H3K27ac)と遺伝子発現にどのように関与しているのかをゲノムワイドで解析するためのデータはそろった。これらのデータを統合し解析することにより、ゲノムワイドに遺伝子発現やヒストン修飾の変化を把握することができ、未だ充分に解明されていない子宮内膜間質細胞脱落膜化機構解明に大きく貢献できるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脱落膜化におけるC/EBP beta の遺伝子発現制御機構を遺伝子プロモータ領域のヒストン修飾の観点から明らかにするために、① siRNAを用いてC/EBP betaをノックダウンし、発現が変化する遺伝子をRNA-seqにてゲノムワイドに解析する。② 脱落膜化刺激によりC/EBP betaが結合する領域をC/EBP beta抗体を用いたChIP-seq法により明らかにし、脱落膜化に伴うC/EBP betaの結合領域プロファイルをゲノムワイドに解析する。③ C/EBP betaをノックダウンすることで、脱落膜化におけるヒストン修飾状態がどのように変化するかをChIP-seq法にてゲノムワイドに解析する。以上の計画を立てた。現在、①、②、③それぞれの ChIP-sequenceおよび mRNA-sequenceは完了した。従って、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ChIP-sequenceおよびmRNA-sequenceにて得られたゲノムワイドなデータを解析していく作業に入る。ChIP-sequenceおよびmRNA-sequenceにて得られたデータを統合させることで、脱落膜化によりC/EBP betaがDNAに結合し、ヒストン修飾に影響を与えることによって、発現が変化する遺伝子のエピゲノム情報を入手していく予定である。 次世代シークエンサーによって得られたゲノムワイドなデータは膨大であるために、どのように解析を進めていくのかがこれからの課題となる。膨大なデータの中から、研究の目的に沿ったデータの抽出を行い、解析を進めていくことになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ChIPアッセイに使用する抗体量とウェスタンブロットに使用する抗体量、とsiRNA 干渉実験に使用する RNA 濃度について、順調に最適化することができたので、抗体やRNA の消耗を抑制することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在行っている検体数は1であるので、平成27年度には、検体数を増やすことを検討している。それに伴い、抗体やsiRNA 干渉実験用のRNAが必要となってくるので、それらの購入費に充当する。
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