研究実績の概要 |
母体を通じて得られる胎児情報を直接的に評価する初めての試みとして、まず胎児特異的microRNAの網羅的解析を行った。母体血、臍帯血および新生児血よりRNAを抽出し、50b未満のRNA断片を選択、cDNAライブラリーを作成して次世代高速シークエンスを用いて塩基配列を決定し、それらをヒトゲノムデータベース上にマップした。各検体でマップされたリード数を100万リードあたりのリード数に換算し、各検体間の発現量を比較した。母体血で100リード未満かつ母体血に対して臍帯血あるいは新生児血で10倍以上の発現を示すものをfetal blood cell specific miRNAとした。その結果、計15のmicroRNA(hsa-miRNA-370, hsa-miRNA-452, hsa-miRNA-485-5p, hsa-miRNA-432, hsa-miRNA-136, hsa-miRNA-136*, hsa-miRNA-433, hsa-miRNA-323-3p, hsa-miRNA-494, hsa-miRNA-409-3p, hsa-miRNA-431, hsa-miRNA-654-5p, hsa-miRNA-376a*, hsa-miRNA-379*, hsa-miRNA-377*)が同定された。これらのmicroRNAは胎盤でも高い発現を示す傾向にあったが、hsa-miRNA-370, hsa-miRNA-409-3p, hsa-miRNA-654-5pは胎盤に比し臍帯血/新生児血で2倍以上の発現を示しており、より胎児の状態を反映していると考えられ、本研究において今後同定を目指している羊水塞栓症の分子マーカーの候補遺伝子と考えている。
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