培養子宮内膜症間質細胞と正常子宮内膜間質細胞におけるmRNAならびにmiRNAの発現をmicroarrayを用いて網羅的に解析し、正常子宮内膜間質細胞と子宮内膜症間質細胞において発現変化するmRNAならびにmiRNAを抽出し、その中から子宮内膜症間質細胞で異常発現する9個のmiRNAを抽出した。さらにクラスター解析によって、正常子宮内膜間質細胞と子宮内膜症間質細胞では発現パターンが明らかに異なることを発見した。 これらのmiRNAのうちで、子宮内膜症間質細胞において発現低下するmiR-196bに着目した。細胞増殖を促進する遺伝子であるc-mycが子宮内膜症間質細胞で増加していること、miR-196bを子宮内膜症間質細胞に過剰発現させるとc-mycおよび apoptosis抑制作用を有し子宮内膜症間質細胞で発現が増加しているBcl-2の発現が減少することが示され、c-mycおよびBcl-2はmiR-196bのtarget geneであり、子宮内膜症間質細胞での発現増加はmiR-196bを介することが考えられた。miR-196bの発現減少により、子宮内膜症間質細胞の増殖は亢進し、apoptosis抵抗性になることが示唆された。またmiR-196bとHOXA10の発現に相関があり、miR-196bとHOXA10は子宮内膜症間質細胞において同じ制御機構で発現が低下していると考えられた。さらに子宮内膜症間質細胞をDNA脱メチル化剤で処理すると、miR-196bとHOXA10の発現が増加したことから、これらはメチル化により発現が低下していることが示された。MSPで子宮内膜症間質細胞においてmiR-196b geneのメチル化が起こっていることが確認できた。
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