研究課題/領域番号 |
26861338
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
谷崎 優子 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (60596972)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 微小環境 / ケモカイン・サイトカイン / 腹膜播種 |
研究実績の概要 |
本研究では,CX3CL1(フラクタルカイン)-CX3CR1システムに着目し,卵巣癌微小環境におけるCX3CL1-CX3CR1の分子病態生理学的役割を解析している.In vivo 実験では,マウス卵巣癌細胞株ID8におけるケモカイン,ケモカインレセプターのmRNAレベルでの発現をReal Time PCR法,タンパクレベルでの発現をウエスタンブロット法,免疫組織染色によって検討し,ID8細胞にリガンドであるCX3CL1およびレセプターであるCX3CR1が発言していることを確認した.また,CX3CL1添加による細胞増殖,細胞遊走実験を行った.続いて,in vivo実験をとして,ID8細胞を野生型(WT)マウスに腹腔移植,皮下移植,静脈注射することで,腹膜播種・皮下腫瘍・肺転移モデルの作成に成功した.宿主におけるフラクタルカインシステムの機能解析のため,遺伝子改変マウスCx3cr1-/-マウスと野生型(WT)マウスに卵巣癌細胞株ID8を腹腔内移植し,生存期間の検討を終了した.腫瘍進展の比較を,腹膜播種・皮下腫瘍・肺転移モデルで検討した.腹膜播種モデルのサンプルの解析を進めている.サンプル解析では,Real time RT-PCR法や免疫組織化学染色を行っている過程である.これらの検討により,いくつか候補分子を特定し,阻害剤による治療効果の予備的検討も開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞のin vivo実験はほぼ終了し,マウスを用いた実験も当初の実験計画通りに順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年の研究も鋭意継続しながら,サンプル解析を進め,中和抗体,阻害剤による治療効果の検討も継続する.また,すでに本学倫理委員会の承認を得たため,当初の実験計画に示す通り,当該医療機関において実施された手術により得られる臨床検体を用いて,卵巣癌におけるCX3CL1-CX3CR1システムの関与について,臨床的特徴と分子病理学的検討を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度,サンプル解析する際に使用するThermal Cycler Dice (R) Real Time System の機器を共同で購入したが、研究費が不足が予測されたため,前倒し請求を行った.このため,本年度の研究は順調に行うことができたが,余剰分は次年度の消耗品等にあてるのが適切と考えた.
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次年度使用額の使用計画 |
マウス卵巣癌モデルから得られた腫瘍組織およびヒト卵巣組織サンプルの分子病理学的検討を現在も進めているため,消耗品購入にあてる予定である.
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