研究課題
卵巣癌はその半数以上が初回手術時に腹膜播種を伴う進行症例である.進行症例に対する治療の主役は腫瘍減量手術に引き続く化学療法であるが,長期予後の改善は見られないのが現状である.さらなる予後改善のためには新規治療戦略が求められている.近年,癌細胞の浸潤・転移にケモカインシステムが深く関与していることが明らかになってきている.本研究では卵巣癌におけるケモカインシステム,特にCX3CL1-CX3CR1を介した癌微小環境内での癌細胞と宿主細胞の相互作用についての検討を行ってきた.マウス卵巣癌細胞株ID8細胞を用いたin vitro実験として,ケモカイン,ケモカインレセプターのmRNAレベル,タンパク発現,CX3CL1を添加した際の増殖能,遊走能などのID8細胞の特性を検討した.次に,in vivo実験として,Cx3cr1欠損マウスと野生型マウスにID8細胞を腹腔内移植し,腹膜播種モデルを作成し,CX3CR1の欠損が卵巣癌の進行に与える影響を検討した.生存期間は野生型マウスに比べてCx3cr1欠損マウスで有意に延長した.腹膜播種モデルでは,腫瘍重量や腹水量,腹膜播種数について,野生型マウスに比べてCx3cr1欠損マウスで有意に減少していた.得られた検体から癌微小環境における宿主細胞と癌細胞の相互作用について分子病理学的検討を進めた.さらに,本学倫理委員会の承認を得て手術検体を用いたヒト卵巣癌におけるCX3CL1-CX3CR1システムと臨床的特徴との関与について検討を行った.平成28年度はヒト卵巣癌についての分子病理学的検討をさらに進め,これまでの実験についての確認実験,追加検討を行い,論文発表準備を行った.
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