研究実績の概要 |
2絨毛膜双胎で2児の胎児発育に大きな差が見られる症例(Discordant Twin)が存在する。両児の子宮内環境の違いを評価するために酸化ストレスマーカーに注目した。その指標としてd-ROMsと抗酸化マーカーであるBAPテストを用い分娩直前期の母体の血清で測定した。解析のために多くの症例の積み重ねが必要であるが、Discordancyを伴った症例数が少なく酸化ストレスが関係していると報告されている症例(単体での胎児発育不全(FGR)や妊娠高血圧腎症(PE)、胎児発育不全を伴う妊娠高校血圧腎症(PE+FGR))における分娩前母体血清中酸化ストレスマーカーにつき解析を行った。倫理委員会承認の上PE+FGR群(PF群)28名,PE群(P群)65名,FGR単独群(F群)47名,早産群(PTB群)16名,正常分娩群(C群)15名から血清を採取しPlGF, sFlt-1, sEng をELISA法で酸化ストレスについてはd-ROMs test(reactive oxygen metabolites:酸化ストレス),BAP test(biological antioxidant potential:抗酸化力)を測定した.酸化ストレスについてはPF群,P群,F群,PTB群,C群で有意差は無かった。BAPtestについてはPF群,P群,F群,PTB群,C群で,1388.0±122.4, 1731.4±133.1, 1825.5±121.7, 1804.8±125.1, 1620.9±87.8 [M±SD]μmol/lでありPE+FGR群ではFGR群やPTB群と比較して抗酸化力は有意に低値であったがコントロールとは有意差を認めなかった。今後妊娠中の酸化ストレスマーカーを評価する目的で児の受けた酸化ストレスを評価するために臍帯血での酸化ストレスマーカーの評価や胎盤病理を評価する必要がある。
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