研究課題/領域番号 |
26861340
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
宮崎 薫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90445370)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | iPS細胞 / ミュラー管 |
研究実績の概要 |
1.ラットinduced pluripotent stem(以下iPS)細胞のクローン化と蛍光タンパク遺伝子導入 ラットiPS細胞をApplied Biological Materials社より購入し,培養・増殖を行った.将来的なin vivoでの非侵襲性解析やcell tracingを鑑み,レンチウィルスベクター(targeting systems社より購入)にてgreen fluorescent protein(以下GFP)遺伝子およびLuciferase遺伝子を導入した.MoFlo XDP(Beckman Coulter社)を使用したFluorescense-activated cell sorting(FACS)にてGFP陽性細胞を分取し,GFP陽性ラットiPS細胞のクローニングに成功した.さらに,GFP陽性ラットiPS細胞を免疫不全マウスに皮下移植し,in vivo imaging system(IVIS;住商ファーマ)を用いた細胞発光の追跡が可能であることを確認した.さらに,6週間後の奇形腫形成を確認した. 2.ラットiPS細胞のミュラー管系統への分化 ラットiPS細胞から子宮を再構築するという最終目標を達成するにあたり,近年報告されている他臓器への多能性幹細胞の分化の知見から,発生生物学に基づき,中胚葉を経由してiPS細胞をミュラー管系統に分化させるのが妥当と判断した.ラットiPS細胞を,各分化段階に応じて培養液中の各種増殖因子などの組成を変えながら培養した.リアルタイムPCRやフローサイトメトリーにて,ラットiPS細胞が中胚葉,中間中胚葉を経てミュラー管系統に分化していることが示唆された.細胞外基質を用いた包埋培養では,分化した細胞が3次元のスフェア構造を形成していた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットiPSのミュラー管系統への分化については,至適な条件設定に加えて,一定の成果が得られているので,「(2)おおむね順調に進展」とした.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き分化プロトコルの改良を重ねていくとともに,今後は以下を行う. 【1】上記の分化プロトコル中の各分化段階のiPS細胞と,実際のラット胎児の各分化段階のミュラー管のDNAマイクロアレイを行い,遺伝子発現プロファイリングの比較を行う. 【2】上記の分化プロトコル中の各分化段階のiPS細胞と,実際のラット胎児の各分化段階のミュラー管のレクチンアレイを行い,細胞表面糖鎖プロファイリングの比較を行う. 【3】上記の分化プロトコルで分化させたiPS細胞を免疫不全マウスに移植し,子宮組織を再構築できるか検討する. 【4】脱細胞化マトリックスに分化させたiPS細胞を注入し,灌流培養を行って,子宮組織を再構築できるか検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費と併せて消耗品購入や論文作成費用に充てる予定である。
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