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2014 年度 実施状況報告書

周産期における麻疹ウイルス胎盤感染がもたらす胎児への影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26861351
研究機関大阪府立公衆衛生研究所

研究代表者

倉田 貴子  大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 主任研究員 (70435890)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード麻疹ウイルス / 胎盤由来細胞
研究実績の概要

麻疹ウイルス(MV)の胎盤由来細胞への感染性の検討では、MVをヒト胎盤由来絨毛膜細胞(JAR, JEG3, Bewo)に暴露し、ウイルス感染の有無を免疫染色、ウエスタン法、細胞から抽出されたRNAを用いウイルスゲノムを標的にしたリアルタイムPCR法により確認した。免疫染色およびウエスタン方法では、経時的なウイルス抗原量の増加、リアルタイムPCR法ではウイルスゲノムコピー数の増加がみられ、ウイルスの感染・増殖が確認された。感染細胞の観察では明瞭な細胞変性効果はみられなかったが、細胞内在性ATPは経時的に減少する一方で、胎盤性ホルモン量は増加した。感染細胞の培養上清を使ったタイトレーションの結果、培養上清中での感染性ウイルス量が低いことが確認された。
ヒト胎盤由来絨毛細胞のMV感受性を規定する因子の検討においては、既知のMV受容体(CD46, CD150, DC-SIGN, Nection4)に関する発現プロファイリングをRT-PCRおよびフローサイトメトリー法を用いて行った。その結果、細胞にはCD150の発現はみられず、CD46およびNectin4が発現していることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画に沿って課題に取り組み、MVの胎盤由来細胞感染と細胞に及ぼす影響を評価できた。MVの培養上清へのウイルスの放出が細胞内のウイルス抗原量に比して低かった点については、なお詳細な解析を要する。本研究課題の進捗状況はおおむね順調と考えている。

今後の研究の推進方策

研究計画に沿ってMV感染により生じる胎盤ホルモン産生に関わる因子の解析と絨毛細胞感染に与えるワクチン誘導免疫の効果について検討を行う。
また、MVの胎盤由来細胞感染時に、培養上清へのウイルス放出が少なかった点に着目し、MV感染による細胞内でのウイルスの複製動態についてさらに踏み込んだ検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

予算の94.8%は年度内に執行されており、ほぼ計画通りであった。次年度への繰り越しが発生した理由としては、物品の購入予定金額と実際の購入金額の差額であったと考えられた。

次年度使用額の使用計画

次年度以降も前年度の繰り越し分と合わせて、当初の予想通り執行予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Increased reports of measles in a low endemic region during a rubella outbreak in adult populations.2015

    • 著者名/発表者名
      Kurata T, Kanbayashi D, Nishimura H, Komano J, Kase T, Takahashi K.
    • 雑誌名

      Am J Infect Control.

      巻: 43 ページ: 653-655

    • DOI

      10.1016/j.ajic.2015.02.022.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The reply. Pitfalls of National Surveillance Systems for Vaccine-associated Measles2014

    • 著者名/発表者名
      Kurata T, Kanbayashi D, Komano J, Kase T, Takahashi K.
    • 雑誌名

      The American Journal of Medicine

      巻: 127 ページ: e9

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.amjmed.2014.04.027

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 麻疹と修飾麻疹について~MRワクチン2回接種の重要性~2014

    • 著者名/発表者名
      上林大起, 倉田貴子, 福村和美, 畑中己穂, 田邊雅章, 松本治子, 駒野淳, 加瀬哲男, 高橋和郎
    • 学会等名
      第18回日本ワクチン学会学術集会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2014-12-06 – 2014-12-07
  • [学会発表] 大阪府における風疹の流行と先天性風疹症候群の検査診断2014

    • 著者名/発表者名
      倉田貴子, 上林大起, 加瀬哲男, 高橋和郎, 福村和美, 畑中己穂, 田邊雅章, 松本治子, 五十嵐愛子, 北島博之, 駒野淳
    • 学会等名
      第18回日本ワクチン学会学術集会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2014-12-06 – 2014-12-07
  • [学会発表] ヒト胎盤由来細胞における麻疹ウイルスの増殖kinetics2014

    • 著者名/発表者名
      倉田貴子, 上林大起, 駒野淳, 加瀬哲男, 高橋和郎
    • 学会等名
      第62回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [学会発表] HI抗体価で評価されてきた風疹に対する感染防御力は流行ウイルスに対して正しい判断をあたえるのか?2014

    • 著者名/発表者名
      上林大起, 倉田貴子, 駒野淳, 加瀬哲男, 高橋和郎
    • 学会等名
      第62回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [学会発表] 水面下における麻疹の流行レベル推定2014

    • 著者名/発表者名
      倉田貴子, 上林大起, 西村公志, 加瀬哲男, 駒野淳
    • 学会等名
      第73回日本公衆衛生学会総会
    • 発表場所
      栃木県総合文化センター(宇都宮市)
    • 年月日
      2014-11-04 – 2014-11-05
  • [学会発表] 生物発光を利用した風疹ウイルス検出系の実験室診断への応用~流行要因解明に向けて~2014

    • 著者名/発表者名
      上林大起, 倉田貴子, 駒野淳, 加瀬哲男, 高橋和郎
    • 学会等名
      第73回日本公衆衛生学会総会
    • 発表場所
      栃木県総合文化センター(宇都宮市)
    • 年月日
      2014-11-04 – 2014-11-05
  • [学会発表] Measles virus as a potential oncolytic virotherapy against B cell lymphomas2014

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Takeda, Daiki Kanbayashi, Takako Kurata, Hironori Yoshiyama, Jun Komano,
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] Cross-Neutralization of Rubella Virus Strains with Human Sera Measured by A Novel High-Throughput Neutralization Assay2014

    • 著者名/発表者名
      Daiki Kanbayashi, Takako Kurata, Tetsuo Kase, Kazuo Takahashi, Jun Komano
    • 学会等名
      The 13th Awaji International Forum on Infection and Immunity
    • 発表場所
      奈良県新公会堂
    • 年月日
      2014-09-23 – 2014-09-26

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公開日: 2016-06-01  

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