研究実績の概要 |
麻疹ウイルス(MV)の胎盤由来細胞への感染性の検討では、MVをヒト胎盤由来絨毛膜細胞(JAR, JEG3, Bewo)に暴露し、ウイルス感染の有無を免疫染色、ウエスタン法、細胞から抽出されたRNAを用いウイルスゲノムを標的にしたリアルタイムPCR法により確認した。免疫染色およびウエスタン方法では、経時的なウイルス抗原量の増加、リアルタイムPCR法ではウイルスゲノムコピー数の増加がみられ、ウイルスの感染・増殖が確認された。感染細胞の観察では明瞭な細胞変性効果はみられなかったが、細胞内在性ATPは経時的に減少する一方で、胎盤性ホルモン量は増加した。感染細胞の培養上清を使ったタイトレーションの結果、培養上清中での感染性ウイルス量が低いことが確認された。 ヒト胎盤由来絨毛細胞のMV感受性を規定する因子の検討においては、既知のMV受容体(CD46, CD150, DC-SIGN, Nection4)に関する発現プロファイリングをRT-PCRおよびフローサイトメトリー法を用いて行った。その結果、細胞にはCD150の発現はみられず、CD46およびNectin4が発現していることが明らかになった。
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