麻疹ウイルス(MeV)はワクチンで予防できる病気である。近年ワクチン接種率の上昇に伴い日本国内での患者数は減少し、2015年には国内からの排除が認められたが、国内では輸入麻疹による成人麻疹の散発事例が相次いでいる。MeVは妊婦に感染すると早産や流産を起こすことが知られているが、その機序については不明であった。本研究では、ヒト胎盤由来の培養細胞を用いてMeVの胎盤感染モデルを作成し、感染が胎盤にもたらす影響を検討した。その結果、MeVは胎盤細胞へ持続的に感染し、代謝の障害、局所でのホルモンの分泌増加、インターフェロンの産生を引き起こし、胎盤の機能を障害することが明らかになった。
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