研究課題
【実験内容】ヒトcyclin D1 mRNAの二次構造を解析し、5’-half-tRNA (HT)型・heptamer (H)型およびlinear (L)型のsgRNA (sgHT1-6, sgH1-6およびsgL1-6) を設計し、これらの2’-O-methyl化したRNAを化学合成した。ヒト頭頸部扁平上皮癌細胞株であるHSC-2もしくはHSC-3細胞を培養用プレートに播種し、種々のsgRNAを導入した。さらに細胞を培養後、全RNAを抽出し、リアルタイムPCR法によりcyclin D1 mRNA量、ウエスタンブロット法によりcyclin D1、RBおよびpRBのタンパク量を測定した。また、sgRNAに加えてシスプラチンの添加を行い、その効果について調べた。【実験結果】HSC-2およびHSC-3細胞におけるcyclin D1 mRNA量は、設計した各種sgRNAの導入によって20-70%のレベルに低下した。設計したsgRNAの標的部位によって抑制効果には差があり、HT型ではsgHT-2およびsgHT-5による抑制効果が大きいことが判明した。これらの2’-O-methyl化したsgRNAはトランスフェクション試薬を用いないで培地に加えただけで,細胞内に取り込まれ核周辺の細胞質に局在し、加えたsgRNAの量に応じてcyclin D1 mRNAレベルが低下した。cyclin D1のタンパクレベルについても同様に減少が認められた。Cyclin D1の標的であるRBのリン酸化も抑制された.これらのsgRNA の導入によって、HSC-3細胞の細胞周期がG1/G0期の割合が増加し,細胞のDNA合成量が減少した。sgRNAのタイプ(HT型,H型およびL型)による違いはcyclin D1発現抑制活性には大きな差異は認められなかった。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Head Neck.
巻: 38 Suppl 1 ページ: E1110-1116
Eur Arch Otorhinolaryngol.
巻: 273 ページ: 3331-3336
巻: 273 ページ: 3987-3992
Otol Neurotol.
巻: 37 ページ: 1174-1182
PLoS One.
巻: 11 ページ: e0161734
10.1371/journal.pone.0161734.