研究課題
26年度は頭頸部癌、特に中咽頭癌のバイオマーカーとされているHPVとの関連について臨床的検討を行い以下の知見を得た。・中咽頭扁平上皮癌症例に対するWeekly CDDP併用化学放射線療法の治療成績の検討を行った。①統計学的有意差は得られなかったが、HPV陽性例の方が予後が良好な傾向にあった。②HPV陽性例は導入化学療法を先行させた症例が多かったものの、治療成績は良好で十分な効果が期待できると思われた。③HPV陰性例に対しては一次治療効果は良好であるものの再発や転移を来す症例が陽性例に比べ多く生じたことに関する知見が邦文誌「頭頸部癌」に掲載された。・頸部リンパ節摘出後に中咽頭癌と診断された症例の検討の検討を行った。①近年HPV関連中咽頭癌が増加傾向にあり、頸部リンパ節腫脹を初発症状とする中咽頭癌症例は増加するものと思われる。②頸部リンパ節腫脹の鑑別にあたっては中咽頭を十分に精査する必要があると思われた。③口蓋扁桃原発癌は転移リンパ節が嚢胞状を呈することがあり、頸部嚢胞状病変の鑑別においては中咽頭癌の転移リンパ節も念頭に置く必要ことに関しての知見が邦文誌「日本耳鼻咽喉科学会会報」に掲載された・ドセタキセル、シスプラチン、5-FUによる導入化学療法後のシスプラチン併用の化学放射線療法の安全性と有用性に関して検討を行った。導入化学療法後に行う化学放射線療法は安全性が問題となるが、weekly CDDPは重篤な有害事象が生じることなく治療効果も良好で3-weekly CDDP(100mg/m2/3week)に比べ管理しやすいことから、局所進行頭頸部癌に対する治療選択の一つとして有用であると考えられたという知見が英誌"International Journal of Clinical Oncology"に掲載された。
2: おおむね順調に進展している
中咽頭癌症例におけるHPV感染との関与を中心に臨床的検討を行い、得られた知見を報告することができたため。
引き続き頭頸部癌における癌化、予後因子の解明について検討を行う。
学会参加費用及び学会出張旅費が想定よりも抑えられたことによる。
学会出張を当初の予定よりも増やす予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 13件) 学会発表 (2件)
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