研究実績の概要 |
ウイルス感染時の嗅粘膜免疫応答に伴う自己組織の傷害を解析するため、Toll-like receptor 7の人工リガンド(Loxoribine、Resiquimod)を24時間毎に3日間経鼻投与し点鼻開始後3日目、9日目の時点で嗅粘膜への炎症細胞浸潤、嗅粘膜の形態学的変化を免疫組織学的に解析したが明らかな炎症細胞浸潤は認められず、嗅粘膜の傷害も認められなかった。投与量を増加するなどの調整を行ったがいずれも変化は得られなかった。 また嗅上皮傷害後の組織再生におけるマクロファージの関与を解析するため、clodronate liposomeを用いてマクロファージ枯渇モデルマウス作成し、メチマゾール腹腔内投与による嗅上皮傷害後の再生について解析を行った。マクロファージ枯渇群では嗅上皮傷害後の組織再生が有意に不良でありOMP陽性成熟嗅神経細胞は少なく、基底細胞におけるKi67陽性細胞が減少しており細胞増殖能も低下していることが示された。メチマゾール傷害後7日目の嗅粘膜を採取後タンパクを抽出し、マクロファージが放出するとされる各種細胞増殖因子、神経栄養因子、抗炎症因子(TGFα、NGF、BDNF、IGF-1,IL10)に関してELISA法を用いて定量を行った。TGFα、BDNFに関してはマクロファージ枯渇群とコントロール群で有意差は認められなかった。NGF、IGF-1、IL10では有意差は認められなかったがマクロファージ枯渇群で減少している傾向が認められた。
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